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「聞いたから。」
「誰に!?」
「お母さんとお父さんに。」
「はあ!?何で私が知らないこと“イチ”が知ってるの!?」
「・・・聞いていないのか。
実家の家に帰った時に、聞いているのかと予測していた。」
そんな発言に、片手で頭を抱える。
「実家の家、帰ってないから!!」
「・・・帰ってない?何故?」
「帰れるわけないでしょ!!!!」
前髪で目は隠れているし、ダサイ眼鏡で表情が全然見えない。
イライラしてくるので、ダサイ眼鏡を素早く外し、前髪も少し掻き分けた。
そして、二重瞼のキリッとした目を睨みながら叫ぶ。
「あんなに壁の薄いボロッボロの部屋で生殖行動して、喘ぎまくって!!!!
どんな顔して、隣の部屋の実家帰るの!!!!
合コンで再会してからの生殖行動、激しすぎるから!!!」
そう、叫んだ。
そう叫んだ・・・。
私が19歳の時に、初体験をした相手に・・・
大好きで大好きで仕方なかった相手に・・・
あのボロッボロのアパート、その隣の部屋に住んでいる相手に・・・
私のことをセフレとして扱った相手に・・・
そして、またセフレとして扱い始めた相手に・・・
私のことを、彼女として認めてくれない相手に・・・
それでも、好きで・・・
好きで・・・
大好きを止められなかった相手に・・・
「“イチ”も、嘘ばっかり・・・。
“イチ”も、秘密ばっかり・・・。」
涙が、流れた・・・。
涙が、流れた・・・。
首からネックレスのチェーンを外し、それごと指輪を“イチ”に突き返した。
「もう・・・終わり!!!!
今回はあんなに生殖行動したのに、妊娠出来なかった!!!!
妊娠出来なかった!!
“イチ”とも“はじめ”さんとも、私は妊娠出来なかった!!!
もう、終わり!!!!」
そう叫び、エレベーターではなく階段を走って降りた・・・。
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