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そして、10月も生理が来た。
9月の排卵日に1週間も生殖行動をしたのに、妊娠をしなかった。
自然妊娠出来る身体なのか、心配になってくる。
生理が終わる頃、それが分かっていたかのように、“はじめ”さんから連絡が来た。
あの日の電話には折り返しもなく、その後しばらく連絡もなく、生理が終わる頃にやっと連絡が。
そして、排卵日を聞かれ・・・。
今回は排卵日の5日前にも生殖行動をすることになった。
そこには“愛”もなく、ただその為だけにする。
虚しかった・・・。
彼女でもなんでもない私が、ただそれだけの為にする。
あのボロッボロのアパートで、“四宮教授”でもある“はじめ”さんと。
ボロボロでヨレヨレでもない姿もある“はじめ”さんと。
嘘を、つかれているのかもしれない・・・。
秘密に、されていることがあるのかもしれない・・・。
それを確認することも出来ず、でも、“妊娠したら結婚する”・・・その言葉だけは信じていたいと思っている。
でも、でも、もし、もし、妊娠して・・・
結婚してくれなかったら・・・
認知もしてくれなかったら・・・
私と同じ子が生まれてしまう・・・。
それは、分かっている。
そんなの、頭では分かっている。
それでも、私は・・・
あの人に、落ちてしまった・・・。
私が、落とされてしまった・・・。
きっと優良物件でもないあの人に・・・
落とされてしまった・・・。
「岡田さん、今日からお母さん入院でしょ?」
課長から聞かれ、私は頷く。
お母さんが今日から入院だった。
自分で荷物も準備をして持っていくと言っていたけど、午後からお休みを貰って病院には顔を出そうと思っている。
「急ぎの仕事がなければ、早めに出て!」
「明日の手術日は1日お休みも貰いますし、ギリギリまで仕事します。」
課長は何か言いたそうだったけど、私の顔を見て困ったように笑ってから、頷いた。
「何かあったら、絶対に言って!いい!?」
「はい、ありがとうございます。」
そんな課長に笑いながら、返事をする。
秘書課では、あまり隠し事をしない。
だから、私が今無理をしていないと課長も判断してくれた。
そんな家族でもある秘書課。
そこでも、私は“はじめ”さんとのことは言えていない。
絶対に反対されるし、理解してくれないだろうから。
家族に反対されること程、悲しいことはないから。
それに、家族に反対されたとしても・・・
私が結婚したい気持ちは、変わらないから・・・。
私は、結婚がしたい・・・。
私は、“はじめ”さんと結婚がしたい・・・。
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