第18話 一緒に
その後、
そのまま
それから
「……嵐のような人でしたね……」
「まぁ……元気な子だから……」
「いただきます」
というわけなのでお茶を入れて、ういろうをいただく。
贈り物の味や価値というのは、値段だけにとどまらない。その人の熱意や想いが、こもっているものなのだ。
ういろうを食べながら、
「
「なに?」
「やっぱりあなたは、僕のヒーローです」
「……?」いきなり何を言い出すんだ、とばかりに、「
「はい。飲み会での一件を聞きました」間髪入れずに、「すいません……勝手に聞いてしまいました……」
「いや……いいよ。別に隠してるわけじゃないし……」
「それに……」
そうだろうか。
「あーあ……」
「用意しましょうか?」
「止めないの? たぶん私、一歩手前だよ?」
アルコール依存症、一歩手前。
そうかもしれない。この部屋の掃除をしたときに、ビールの空き缶が多数出てきた。
そんな状態の彼女が飲酒宣言をしている。たしかに止めるべきなのかもしれないが……
「じゃあ、僕なりの方法で止めます」そう宣言して、少年はワインを用意する。そしてワイングラスに注いで、「どうぞ」
「……?」
「いくらでもどうぞ」
「……美味しいね……もっと、依存しちゃいそう」
「良いですよ」それから最重要の情報を付け加える。「1本が1億2000万です」
「……えぇ……」予想していた額よりも、大きかったようだ。「高いもんだろうとは思ってたけどさぁ……」
「はい」自分の用意できる、最高のものである。「飲みたければ、いくらでもどうぞ」
「……いや……さすがに気が引ける……」
これが少年流の止め方。
お酒1本が中途半端な値段だから悪い。1本1億なら、相当依存してない限り止められる。
というより……
「……キミも一緒に……」
「はい。ですので、お酒はご一緒できません」
「じゃあ……しばらくはひとり酒だね……」
「はい」
また生きる目的ができてしまった。
20歳の誕生日……その日の予定ができた。
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