第17話 冤罪
その人物から、
「結局……どっちなんですか?
上司に暴力を振るったのかどうか。
「表面上は……酔った
「冤罪……」
「はい……その、というか……私が原因で……」
その言葉が本当なら、少年は
ともあれ冷静になろう。まずは話を最後まで聞こう。
「あの上司……セクハラしてたんですよ。若い女性なら誰でも良いって感じで……」
セクハラ……
なんとも反応しづらい話題だった。男性としてはその手の話題に首を突っ込むと、火傷する未来しか見えない。
「それで……上司のセクハラは飲み会になると歯止めが効かなくなって……入社したばかりの私が標的になったんです」
なるほど……少年のヒーローは、まだまだ健在だったわけだ。
「それで言い争いになって……でも、上司はひどく酔っていて……また私に手を伸ばしました。それを
「上司が大げさに倒れた、ですか……」
「……はい……」
そしてそれは……きっと暴力を伴う方法じゃない。上司を傷つける意図は、なかったはずだ。
要するに……
「
なんとも卑劣。酔っぱらいのクセに頭の回る小悪党だ。
「
……寡黙……
会社にいるころには、寡黙な
「でも
悪口を言わない……
言われてみればそうだ。
「そんな先輩がクビになるなんて、おかしいですよ。そりゃうちはお世辞にもホワイトな企業とは言いませんけど……でも、選択肢がないのはおかしいです」
無理やり辞めさせられるのはおかしい。仕事を続ける権利があるはず。その権利が
それは悲しいことだ。会社のために働いた社員が、冤罪で追放される。そんなことは通常、あってはならない。
だけれど……だけれど……
今の
少年の憧れたヒーローは、死んでなんかいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。