第16話 お子さんですか?
「ちょっと散歩してくる」
「承知しました。お一人で、ですか?」
「そうだね……」1人になりたいときくらいあるだろう。「ボディガードは必要ないよ」
「わかりました。お気をつけて」
GPSでもつけて……いや、それは失礼だな。
というわけで、
想像していたよりも元気そうで、なによりである。
アルコール依存症で、外に出るのも一苦労。そんな状態なのではないかと思っていた。
だけれど……どうやら違う。アルコール依存ではないし、1人で外に出るのも抵抗がない。
これは思ったよりも
そんなことを考えながら掃除をしていると、
居留守を使うのも気が引けたので、
「はい」
「あ……」気弱そうな女性の声が聞こえてきた。「あの……えっと……
「……」
「えっと……
「
インターホンのカメラから見える
彼女は
「あの……お礼と、謝罪をしたくて……」
「謝罪ですか……」そういえば
「え……ああ……じゃあ、どれくらいでお帰りになりますか……?」
「……ちょっと、わからないですね……」散歩なので、そこまで時間はかからないと思うが……「すぐ帰ってくるとは思いますが、確証はないです」
「あ……じゃあ、待たせてもらってもいいですか?」
「もちろん」
というわけで、勝手に後輩を部屋に出迎えさせてもらう。まぁ、
玄関を開けて、直接
「これ……」
「それは……直接本人に渡してあげてください」
「あ……それもそうですね」
それから座布団を用意して、座ってもらう。イスはこの部屋に存在しないので、座布団が最大の出迎えだ。
「えっと……」座って早々気まずくなった
苦笑してしまう。年齢的に……
「……いえ……ちょっとした、居候です」未来の恋人です。「お茶でも用意しますね」
「あ、いえ……お気遣いなく……」
気遣わないといけないだろう。
というわけで最高級のお茶を用意して、
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
「普通のお茶ですよ」とても高価なだけ。「気に入ってもらえて嬉しいです」
それから
「あの……」せっかくなので、聞いてみる。「会社の後輩さん、ですよね」
「あ、はい」
「
「殴ってません……!」不意に彼女は大声を出して、「あ……ごめんなさい……」
「いえ……」ちょっと驚いたけれど、問題ない。「……殴ってない、というのは?」
しかし後輩である
これはいったい、どういうことだろう?
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