SFかロマンスか?

ロマンとリアルが、ぎりぎりバランスを取った素敵な小品。
火星で勤務する恋人の元へ、地球で暮らす主人公の女性が会いに行く、その心情をつづった短い物語です。

無礼な言い方を許して頂くならば「馬脚をあらわしていない」。
はやぶさ2は、火星より手前の小惑星「リュウグウ」まで3年半をかけて到達し、1年のミッションを行い、1年半をかけて地球に帰還しました。
実際のミッション、実際の運用を詳述すれば、物語としては「退屈」に堕す。

でも、21世紀の今日、地球と火星で長距離恋愛なんて、少しの違和感もなくリアリティを感じられる私たちです。
そして、きっと、どんな時代になっても、人の営みの基本は変わらない。

コロナ禍の3年間でも、会いたくても会えない人が大勢いました。
遠くの愛しい人に会いに行く。どんな時代でも、私たちは、そんなシチュエーションに瑞々しいロマンを覚えるのでしょう。
ご一読をお勧めします。