ソウドオフ

 今回は皆様ご存じソウドオフについてのお話。

 もう少し定義を狭くして、散弾銃のソウドオフとしよう。

 定義を狭くしないとオブレヅまで話題が及んでしまうので。


 個人的にはソウドオフと言えば水平二連発の散弾銃を切り詰めたものが好きだ。それも反動が大きい十二番口径より片手で反動を制御しやすい二十番口径が。


 一般的には皆様はソウドオフの散弾銃と言えば何を連想されるだろうか?

 最近ではマッドマックスの影響で姿形は認識されたが呼称までは知らない人も多いだろう。


 で、本題。

 今回は『実用』半分、ロマン半分で語りたいと思う。


 ソウドオフをざっくり説明すれば、銃火器の長物の銃身やストックをノコギリで切り落とせば完成だ。それの散弾銃について今回は語りたいのだが……。私にとってはポストアポカリプスでの影響よりも、法治国家でのイリーガルな銃という印象が強く、どちらかというと悪漢が使う凶悪なアイテムだと思っている。


 どう考えてもまともな人生を歩んでいる人間には程遠い。


 何しろ、殆どの国では散弾銃の銃身を切り詰めると違法なのだ。答えは簡単で、銃身が短いので散弾のコローン(撃発された直後の一塊)が形成される前にパターン(銃口から飛び出た時の散らばり具合)が大きく広がり、広い面積に散弾をばらまく。




 勿論の事、デメリットも大きい。銃身の中で十分に加速されないので威力は低くなり、更に散弾本来の空気抵抗の大きい粒弾は直ぐに失速して、威勢のいい反動と銃火の割りに大した距離まで届かない。マグナムシェルのスラッグにしたところで、空気抵抗という物理には勝てず、本来の威力は殆ど発揮できない。


 直径約六ミリの丸弾が九個入ったOOBや直径約九ミリの丸弾が六個入ったOOOBなどであれば威力はともかく、重量が重いので遠くまで飛ぶ。水鳥を撃つもっと小さな粒弾であれば距離は期待できないが近接する広い範囲に『散弾を当てることはできる』。


 実用面で言うと、デメリットの方が大きい。具体的には散弾が重い。予備の散弾は非常に邪魔。コートの内側に散弾銃を吊り下げているアクション映画を偶に見るが、あの銃の予備弾はどこに挿し込んでいるのか不思議だ。それくらいに重く嵩張る。物理的制約から、大した弾数を携行できない。


 ソウドオフの印象を広く知らしめたと言っても過言ではない、メルギブソン主演のマッドマックス2では文明が滅んだ世界だったので激しいガンファイトは主題でなかったので発砲回数は数えるほどだった。


 近年のアクション映画ではポンプアクションやリコイルオペレーションの散弾銃を切りつめた物がちらほらと見かける。ポンプアクションでは一部の公式メーカーがショートモデルと銘打って製造販売して法務機関に収めている。


 重い、嵩張る。たったの数発しか装填できない。再装填のロスが大きい。射程、威力ともに今一つ。反動の制御が難儀。法的に認められないケースが殆ど。




 正直……正直なところ、夢とロマンしか詰まっていない!

 こんなに心の中の男のが疼く銃があるか?!


 いや無い!


 私の推しは水平中折れ二連発二十番口径三インチで銃身は十一インチ前後で引き金は二本。撃鉄内蔵式。


 過去に何度もこれを使う主人公をモチーフに習作を大量生産した。

 書いても書いてもアイデアが止まらない。


 ソウドオフ……というか、散弾銃自体の魅力として、タクティカルな側面で語るのなら、状況に応じてシェルを入れ替えれば致死と非致死をすぐに選択できる。


 近距離では出会い頭に大量の散弾を一つの標的に叩き付けることができる。適当に撃てば必ず体のどこかに当たる。相撲取りの張り手のようなものだ。距離を少し開ければ威力は低下するものの、パターンが大きく広がるので複数の標的に散弾を浴びせることができる。 尤もどんな小さな粒弾でも目に飛び込めば失明するほどの重傷だ。


 射程が短く威力が低い散弾など役に立たない。それは事実。

 その事実を以てして創作に如何に落とし込むかという点に私は魅入られた。


 あかん子ほど可愛い。


 その理屈そのものである。


 法の世界では違法な存在。

 無法の世界では象徴的存在。



 あらゆる世界に顔を出しても主人公の良き相棒になる素質を秘めている。


 ……あ、また習作を書きたくなってきた……。


 

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