風邪と思秋期

 私は非常に虚弱だ。特に週刊少年漫画雑誌の発売日と同じペースで風邪をひく。


 一年に約百二十日も風邪をひく。軽微な鼻風邪は除いて、寝込むほどの風邪で、だ。鼻水を垂らす鼻炎を含めれば、ほぼ毎日風邪をひいていた。SNSでも私は毎日のように風邪を報告していたが、最近異変が生じた。


 中年太りに拍車が掛かってきた。


 それ自体は別の話だ。要点は、中年太りを解消すべく普段は辛くて見向きもしなかった脂肪燃焼のための有酸素運動を少しだけ取り入れた。一日十分。それを朝と夕方。


 それを今年の四月一日から。


 結果から言うと、未だに中年太りの解消とは程遠い。腹は出る一方。心に作用する薬の影響が強く残っているので、私は男性だが、女性的な皮下脂肪型の肥満に近づいている。今はまだBMIは安全域だが、体脂肪率がとうとうオーバーしてしまった。


 それでもいつか必ず効果が出るだろうと地道に有酸素運動を続けていた。


 ある日気が付いた。


 私は何故か自信に満ちている。フットワーク軽く自ら外出することが多くなった。その心の変化には全く気が付かなかった。


 ここ暫くの日記を読み返す。日記と言っても日々の思うことを書いた情緒あふれるものではなく、何時に起床して何時に就寝したか? 何時に入浴したか? 今日の献立は? 何時にどんな体調不良が発生してどんな対処をしてどんな結果になったか? などの記録である。


 日記を記録風に書いていると、私が体調不良で病院に担ぎ込まれても日記を見せれば主治医は把握してくれる。説明が省ける。だから始めた日記という名の記録。


 その記録によれば、有酸素運動を日課に加えてから急激に風邪をひく回数や寝込む日、症状の軽微さが増える。仕舞いにはここ二か月以上風邪をひいていない。


 それだ! と、思った。


 今まで嫌っていた有酸素運動をまじめに取り入れた。何故取り入れる気になったかは前述の通りに中年太りだからだ。その前に……前の私なら面倒くさがって有酸素運動以外の楽な運動を模索していただろう。


 これは……恐らく……中年の中二病こと思秋期の片鱗だろう。


 最近、突然エッセイを始めたのも思秋期なのかもしれない。散策中にスケッチを始めたのも、読書ノートを改めて始めようと思ったのも、思秋期に差し掛かっていたからなのかもしれない。


 話は少し戻して。

 中年太りは未だ解消されず。然し、風邪をひくことの無い体を作りつつある。



 努力したが成功しなかった……のではなく、努力した結果成長した、と考えれば、有酸素運動を取り入れた事や払った労力、費やした時間は全く無駄ではない。


 誰でも中年期に差し掛かると、運動することを矢鱈と主治医に推されるのは、気を抜くと中年期本番でコロッと逝ってしまう病に簡単に罹患するのだ。飲酒して寝ている間に突然死や、座り仕事が長すぎてエコノミー症候群で死亡や、若い頃と同じ感覚で暴飲暴食鯨飲馬食を繰り返して引き返せない生活習慣病……そして透析しないと生きていけない体へ……。


 私の父も膵臓がんで手術してからすぐに透析生活に入り、日夜糖尿病と高血圧と戦っている。というか、戦わされている。

 身内に肥満が原因の病人が居て、更にその家系にその病が原因で最期を迎えた親類を見ていると他人事何ではない。私もその遺伝子をひいているのだ。気は抜けない。



 健康的な肥満という定義は存在しない。

 それを肝に銘じて運動に励みたいと思う。


 趣味の筋トレではない。自分の寿命が懸かっている運動だ。

 自然と力も入ろうものだ。

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