ジャーナリング

 私は日常的にユビキタス・キャプチャーを実践している……というか、自分の脳味噌が信用できないので、見聞きするものを役に立つか否かは別として片っ端からメモ帳に書き留めるのが癖になっている。


 元から紙にペンで書くという行為自体が大好きだったのでそれは苦ではない。小学低学年の時から父親に年玉手帳をもらってスケジューリングの真似事をしていた。


 それの派生と言うか延長と言うか、ユビキタス・キャプチャーに到達するのは時間の問題だったのだろう。【デジタルで入力】ではダメだ。紙にペンだ。これは個人的なフェチと言っても過言ではない。


 で、今は心に淀みがあると感じた時は『ジャーナリング』を行うことにしている。


 ジャーナリングとは今ではセラピーの一つとして有名な【筆記する瞑想】のことで、15分以上、一つのテーマに沿って書き連ねるだけだ。静かな空間で視界に思考を邪魔する物は置かずに只管、思うまま、感じるままを紙に書く。誤字や文法の間違いや字の汚さなどは完全に無視。兎に角、書く。


 これにより人の脳から曖昧模糊とした言語化できずにモヤモヤとするノイズが晴れて脳味噌の領域が広くなる。あれもこれもと使い道の違う道具を所持しながら全く関係ない作業をすると、それ以外の道具が邪魔になって作業効率が落ちるのと同じ。その関係ない道具を一度、置いて、空いた両手で一つの作業に集中したほうが効率的なのと同じだ。


 脳を常にクリアにする。

 脳の領域を広くする。

 脳からノイズを追い出す。


 人間の頭脳には【マジカルナンバー】という概念が存在する。検証方法や対象により数は変わるが、人間は短期的には平均四つの事しか覚えられず、人により±1の差がある、というものだ。


 脳が常にマルチタスク状態だったり、常に何かしらの事柄について思考していると短期的に覚えられる数は自ずと減る。


 素晴らしいアイデアが一瞬で忘れてしまい、更には自分がアイデアを思いついた事実すら忘れる。


 だから、紙にペンで筆記。即座に紙に情報を封じ込めるのだ。


 紙にペンで筆記すると脳生理学的に記憶が定着しやすいと証明されている。


 優秀な人間はメモをするのではなく、自分は優秀でないと思っているからメモを取り、引いては記憶の定着を繰り返して物を覚えていたり忘れ難くなっているだけだ。


 書くというのは非常に科学的で化学的だ。


 先に挙げたジャーナリングでノイズを晴らし、メモを取り忘却を防ぐだけでかなりQOLは向上すると思う。


 ジャーナリングと同じポジションにモーニングページがある。これは私も実践しているが、発祥の地である米国とは少し違う方法を執っている。……が、効果は実感している。


 デジタル全盛のこの時代に少し回帰して不自由なアナログで煩わしさを敢えて楽しんでみてはいかがだろう?


 皆様におかれましては是非、筆記を先途に文房具沼や手帳沼に嵌ってもらいたい所存。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る