気分転換、息抜き、休憩。

 息が詰まりそうなほど忙しくなったときに市内の巡回バスに飛び乗って一時間ほどの旅に出るのが好きだ。


 心を亡くすと書いて忙しいと読む。心がタスクに圧迫され過ぎるとどんなに頑張っても脳の処理能力は落ちているのだから片付くものも片付かない場合が多い。


 そんな時は思い切った息抜きが効果的だと思う。


 いつだったか、コーヒーマシンのCMで、『これさえあれば寒い外に出なくても一杯たったの◯◯円でオフィスで本格コーヒーが飲める!』というコピーが流れた。


 違ーう! 違うんや! 休憩時間に社外へ出てコーヒー飲みに行く・買いに行くのは面倒でも煩わしいのでも無いのよ!


 社内とは違う雰囲気で気分転換を図りたいのよ! 見慣れた『嫌な空間』では気分転換は効果的に行えないのよ! 短い休憩時間に思いっ切り息抜きするために社外へ出るのよ!


 そんなわけで、私も日常的に忙しくなったら外出する。


 忙しいの基準は、親しいはずの人に対して大雑把な態度で接したり乱暴な口をきいたりしていると自覚した時が主だ。他にも毎日の食材の買い物で、たくさん並んでいる製造食品で山のような種類がある豆腐や牛乳などの平凡な製品を見る『目』が雑になった時。忙しいといつものでいいや、とホイっといつも買っている物を事務的に買う。だが、忙しくない時はゆっくり棚を見わす余裕があるので「いつもと違う物を試そう」と挑戦的になる。


 心に余裕が無いと、雑になり、辺りに気を配れなくなる。


 そんな時は大体、意識していないレベルから疲れている場合が多い。


 なので、思い切った息抜きをして一気にストレスを忘れる事にしている。


 基本的に、疲労は溜まる前に解消が理想だと言われているが、そう簡単に解消できないし自覚が無い場合が往々にしてある。


 何より、「君、疲れた顔してるけど……大丈夫?」と人から心配されて反射的に「大丈夫大丈夫! 平気平気!」と否定する人は大方の場合、疲労が蓄積している。それに休むのが下手な人ほど、大丈夫、平気だ、と素早く答える。「そうなんだよー、疲れているんだよー」と自らの疲労を認めて素直にしんどさを吐露してくれるのはまだ心が健康な証拠なので、その段階で休息すれば大幅な回復が見込める。


 休息や休養と睡眠の違いが分からないのが難儀だし、教えないのも問題だ。


 睡眠時間は8時間以上を確保した上で、『自分に合致した息抜き』で存分にリフレッシュ。


 「ちゃんと8時間寝ているから大丈夫」という考えは間違いだ。……だが、「8時間寝てるんだろ? じゃあ働けるだろ」という上司や事業者が未だに多いのも問題なのだろう。


 私も息抜きが下手だった。まだ下手だ。何が効果的な息抜きなのか探している。もはや、何が自分に適した息抜きなのかを試すのが息抜きになっている節すらある。


 巡回バスに乗り、風景を見ながらなんとなく、自分に合う休み方とはなんだろう……? と、チラと考える時がある。それはそれでなんだか新鮮な気分だ。

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