第20話どうするんだ?
「それで…未希はこれからどうするんだ?」
未希の長〜い長〜い話が終わりを迎えた所で俺はそう尋ねる。
「ど、どうするって…どういう意味?」
「いや、そのままの意味なんだけど…。どこで暮らすのかとか、1人で暮らすのかって事。勿論助けあうのは当たり前なんだけど、助けはいらないって言う人も中には居るだろ?」
「無理無理無理無理無理っ!?アタシ1人でなんて暮らせる訳ないっしょっ!?何言ってるのよ末広、あんた正気っ!?」
「いや、念の為聞いて置かないといけないだろ?ここの拠点に家建てるかとか、離れた所に建てるかとか色々とな?」
「アンタ馬鹿ぁ!?馬鹿よね?鈍感みたいだし、アタシはここから離れないからね!?二度と一人なんてゴメンよ!?体で払えって言うなら払うからどうかアンタ達の傍においてよっ!?」
「未希ちゃん!?ドサクサに紛れて何言ってんのっ!?駄目っ!駄目だからね?」
「お、落ち着いてくれ2人共…。聞いただけだからなっ?」
「うぅっ…追い出したりしない?」
「しないから。落ち着いてくれ、なっ?」
「うん」
「まぁ、この際だからちゃんと2人に聞いて置こうと思う。2人共年頃の可愛い女の子だろ?男の俺と何時までも同じシェルターに寝るのもアレだろうからそこに…」
俺は今のシェルターからある程度近い所を指差して新しくそこにシェルターを作ろうと思うと口にしようとしたのだがその言葉は優花にかき消される形になる。
「わ、私は豊和君と一緒の方が安心だからそのままがいいかな」
「いや、でもな?」
「アタシもお邪魔でなければ2人と同じ所でも大丈夫だし、寧ろ同じ所がいいしっ!?1人では眠りたくないっ!」
「…分かった。じゃあ今日は寝る時はシェルターは2人で使ってくれ?俺はシェルターの近くに蔦で簡易ハンモックでも作って今日は休むからさっ。んで、明日から2人に手伝って貰ってシェルターというか高床式みたいな家を作る事にしようと思うんだがどう思う?」
「うん、分かったよ豊和君」
「末広…ありがとう…。感謝感謝っ!後でおっぱい揉ませてあげる」
「未希ちゃん!?豊和君、駄目だからね!?揉むなら恥ずかしいけど私のを…」
「揉まねぇからっ!?」
何を2人共口走ってるんだか…。
「とにかく…後はそうだな…俺が今から海に潜って、魚かなんかを突いてくるからそれらを使って今日の晩ご飯は豪勢にしようか?」
「「賛成ー!」」
俺はそう言うと銛を手にする。暗くなってしまったら海の中は見えないからな。それと植物のツルを用意した。これは後で使うつもりだからだ。そして3人で海へと向かう。
2人には磯の上で待機して貰い採った物を預ける事にした。俺は服を脱ぎ、下着を脱いで…
「きゃっ!?」
「あばばばっ!す、末広隠してっ!チン隠してっ!?」
「あっ…悪い」
「すす、少しは気にしてよぉ!」
「優花には既に見られてるし…構わないかと思って…」
「構うよっ!? もぅ…ばかぁ…」
「は、初めて見た…男性のアレ…あんなになってるなんて…」
「ま、まぁ、とにかく行って来るっ!」
「「…う、うん」」
海の中に潜ると改めて思う。ホントここは海の中が透き通っていて綺麗だと。小さな魚の群れも珊瑚も全てが神秘的に見える。
おっと、この景色に見惚れてる場合では無いな?1度浮上して、空気をたっぷりと肺に取り込んでからまた潜る。
そして海底にある岩の隙間や海藻の間等を重点的に見ていると…
(い、居た…。丁度逃げ道が無い穴の中に魚が隠れている。これは…カサゴだな)
ス~ッと近付き…銛を一突き!
“ブスッ!”っと、擬音が聞こえて来るかの様に見事に銛はカサゴへと突き刺さる。逃がさない様にそのままググッと獲物ごと海底に押し込む形をとる。そして魚を手で掴むとエラ蓋から指をねじ込み入れエラを取る。
(手の平大位の大きさならエラブタから簡単にエラが取り出せるからな。上手くいけばそのまま内臓も引き摺り出せるしな…)
そして持ってきたツルをエラブタから差し込みツルを結び付ける。こうすると持ち運びが楽だしな。
カサゴを獲ったその近くにサザエが3個もあるのを見つけた。サザエはツルに通せないからそれらを手に持ち、一旦磯にいる2人の元へと俺は向かう。
「どう豊和君?」
「何か獲れた?」
「ふぅ~。ああ、カサゴがまず一匹とサザエが3個だ」
俺はサザエを2人に手渡す。
「「…カサゴ?」」
「嗚呼、アラカブとも言う魚なんだけど、味噌汁とか煮付けとか刺し身も色々と最高な魚だよ。味噌とか醤油が無いから…カサゴは素揚げにでもしようか」
「「そんな事聞かされると、もうお腹が空いてきそう…」」
「ハハッ!もう少し待っててくれ」
そう言うと俺は再び海の中へと潜っていく。そしてカサゴを四匹程仕留め先程と同じ様にツルをそれぞれ魚のエラブタから口へと通し持ち運ぶ。
(コレ位でいいか?)
そう思いながら待っている2人の所に戻ろうとした時、なんと浅瀬に伊勢海老が岩の隙間に居るのを見つけた。
(伊勢海老っ!?)
岩の隙間じゃなかったら逃げられてるなと思いながらしっかりと伊勢海老を銛で突いて仕留める。ホントにここは海の楽園みたいだ。そう思いながら…。
******
「ま、まさか…伊勢海老が食べれるなんて…アタシ初めて食べるよ?」
「そりゃあ良かった。そんなに喜ばれると獲ってきたかいがあったよ!」
「カサゴって言う魚もホント美味しいね」
「だろ?」
2人の元に戻った後はみんなで早速晩御飯の用意に取り掛かった。そしてこうして食べながら話に花を咲かせてたんだけど…
「以前はさぁ…アタシは魚ってどこが美味しいのか分からなかったんだけど、こんなにも美味しいと思える様になるとは思ってもみなかったよ」
「新鮮だし、こうして外で食べるとホント余計に美味しく感じてしまうよな」
「うん、私もそう思う」
「いやぁ〜 ホントマジ感謝しょっ!流石はアタシの旦那だよね?」
「「…えっ!?」」
「だってそうなるっしょっ?アタシは1人で生きられないし、ここには末広しか男は居ない訳だし、末広のアレは見ちゃったし…」
「イヤイヤ…何言ってんだ未希は?まだ他にもこの島に来る人がいるかも知れないだろ?だからその為にも明日から家を作る訳だし…」
「そそそそそそうだよ!?それは早計過ぎるっしょっ!?」
「優花…あんた口調が若干アタシになってるよっ?」
「まぁ、まだどうなるか分からないからそういうのは考えなくてもいいんじゃないか?」
「ぶぅ~!何?アタシじゃ不満なの末広は?」
「いや…ふ、不満とかの問題じゃっ…」
「優花が正妻でアタシは二番目。それでいいよ?順番で言うとそうなるよね?」
「わ、私は異論ない…よ?」
「ほ、ほら2人共。そんな事より星が今日も綺麗だぞ?」
「誤魔化し下手過ぎっしょっ」
「…豊和君の…ばか…」
「ま、まぁ、そういうのはゆっくり考えて行こう、なっ?」
「「……」」
美少女2人からのジト目はある者にとっては御褒美だろう。俺はなるべく2人に視線を合わせない様にしながら魚にかぶり付くのであった。2人共あんまり男をからかったら駄目だぞ?俺なんかそんな事言われなれてないから本気にしてしまうぞ?
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