第6話動画の編集

「―のぉ~メタトロン?」


「どうされました神様?」


「今…彼の1日目の動画を編集しておってのぉ、名場面というか人間達の間では切り抜きというか…」


「…今日は仕事をされてなさそうなので何をしているかと思えば…それで?」


「ふぉっふぉっふぉっ!説教かと思えばしない所を察するにお主も気になるんじゃろ彼が?」


「―そうですね。彼は良い!あの働き具合、冷静さ、頭のキレ!素晴らしい。是非私の部下か同僚に欲しいものです」


「珍しいのぉ~。お主がそこまで言うとは…」


「私も配信を見て久しぶりに人間が良いと感じましたよ…」


「―そうじゃろそうじゃろ!」


「神様には徹夜で働いて貰うとして…何をそんなに悩まれているのでしょうか?」


「…徹夜とか不穏な言葉が聴こえた気がするんじゃが…「気のせいです。それよりも…」―そうじゃそうじゃ、お主にだけは教えておくがのぅ、2日目の配信はブラックのコーヒーを出来るだけ苦く、濃くしておいた方がいいかもしれんぞい?」


「ぴくっ…ま、マジですか神様?」


「お主の眉がそんなにぴくっっと動いたのはいつ以来かのぅ?」


「それって甘い展開が期待出来ると言う事ですよね!?甘い展開と言えば恋模様!!恋模様と言えばアダムとイブ…いや、ロミオとジュリエット…それか――。とにかくあの人間達の恋模様は今でも私の心に深く残って刻まれています。私に恋を語らせて下さるならばエロス様とも渡り合ってみせますとも!!」


「―ほぉ~ 言うじゃ無いか…メタトロン?」


「!?」


「なんじゃ、エロス、お主は突然…。 来るとは思わんかったぞい?」


「全知全能の神よ、あれはズルいぞ!?」


「彼の事かの?」


「勿論。一回目のあの配信終わりにLOVEをちらつかせるなんて…気になって気になって仕事にならないじゃない!」


「ふぉっふぉっふぉっ!それはワシにとっては喜ばしい事じゃ!次も観たいと思ってくれた訳じゃろうからの?」


「そりゃあそうさ!他の神々もあの第一回の配信をアーカイブと言ったか?とにかくそこら辺は分からんが繰り返し見ているらしいしね」


「そうかそうか!」


「―で、いつ続きは配信されるの?」


「んっ?もうすぐ名場面の編集は終わるからその後になるかのぅ!まあ、彼が起き次第あちらに向かうがの?それに仕込みはバッチリじゃし…」


「…神さ…ま?」

「か…みよ?」


「どうしたんじゃ、メタトロンもエロスも?」


「「今…仕込みと言いましたね(ったわね) !?」」


「…しもうたぁ〜〜〜〜〜〜!?」


「ゴクッ…仕込みとはなんなのです!?」


「何を仕込んだのっ!?いかん観たい。早く観たい!今すぐ観たい!!観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい観たい!」


「まずは落ち着けエロスよ?今しがた動画の編集は終えた!そしてそろそろ彼が目覚める頃じゃ…後は皆に告知してワシがあちらへと趣き配信するだけじゃ!」


「それって、マっ!?」


「うむ!マジじゃ!」


「…では神様。早速告知を宜しくお願い致します!」  


「そうじゃのぅ…そろそろ告知するぞい。ウォッホン!」


ピコン! タブレットに通知が表示される…


『第二回末広豊和のサバイバル動画ライブ配信!!吹くのか?吹かせるのか?恋の風!気になるこのは一体だ〜れ?しかも彼女は豊和を知っている!?』


 ―タイトルを載せて、謎のシルエットのサムネをセット!


「―皆の者っ!この後すぐ生配信スタートなのじゃ!!」


 わしはいそいそと島へと向かう。島に着いたわしは彼の眠る傍に立ちカメラを回し始める…さながら芸能人の寝起きドッキリを仕掛ける人間達と同じ気持ちを抱く…。まあ、彼からわしが見える事はないがの…。さあ…2日目も極上のエンターテイメントを魅せておくれっ!!!

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