第3話無人島生活2日目
チチチッ! チチッ! チチチチチッ!
鳥の囀ずりが聞こえてくる。
目を開けると辺りは少し明るくなっている。
「ふわぁ〜 …朝か。朝はやっぱり少し冷えるな?結構快適に眠れたし…なによりお腹が空いてきたな…」
起きてすぐに焚き火に薪を追加し、火を絶やさない様に気をつける。バケツ替わりにしている丸まった鉄片を今度は鍋代わりに使う。
中に入れていた海水を捨て、鉄片を火に当て黒貝を置く。後は取り敢えず貝が開くのを待つだけ…
その間に水分も取っておくも忘れない。何度も言うけど水分の補給はこまめにがサバイバルの鉄則。
暫くすると黒貝がパカッ―と開く。
身はぷりっとしていて美味しそうな感じ。そろそろ食べ頃だな。そこら辺に落ちている木を箸代わりにして貝をつまみ…
「あむっ! 熱っ! 熱っ! はふぅ~…ふぅ~…じゅるるっ…はふはふ…モグモグ……ゴクン…うん…潮がきいていて中々イケる」
そんな感じで朝食を食べ終えると引き続きシェルター作りへと取り掛かる。屋根を早めに作っておかないと雨が降ったら火が消えるしまう。それに雨に濡れて風邪をひいたり低体温症になるのも防がないといけないからな。
それにしても木を切ったりする時の音が結構響いている筈だし、火を点けているから煙も上がっているいうのに…人の気配がしない。
人が居たら気づかない訳は無い筈だからやはりこの島には俺だけが流れ着いたのか?
それとも遠くからこちらの様子を窺っているのか?
まあ…今それを考えても仕方ないか…
それから作業に没頭。作業を終えた俺は太陽の位置を確認。太陽の位置からして今は昼過ぎ位だろうな…。
取り敢えず漸くシェルターが完成したんだ。ちゃんと枠も組んで壁や屋根には土、苔、落ち葉等を組み合わせているんだぜっ!雨が降ってもこれで大丈夫ってわけだ。
もう少し人手があったり、時間を掛ければもっと良いものが出来るだろうが取り敢えずは俺一人だしこれで良いか…そう考えて次の行動へと俺は移る事にする。
次は食料の確保。今日はまた簡単に黒貝や食べれる海藻にしようかと考えて昨日黒貝を取った磯へと向かう事にした。
「罠等を用いて肉や魚も取らないとな」
そうこう考えているうちに昨日の磯へと到着。磯に登りふと遠くに視線をやると…
「―うん!? あれは…まさか人か?」
人が 砂浜に倒れている?
「大変だっ!?」
俺は磯を下り人が倒れている場所へと一直線に駆け出した。
近くなるにつれてやっぱり人だったんだと気づく。倒れている人は俺達の高校の制服を着用して、しかも女性だという事が分かる。彼女はうつ伏せに倒れていたので仰向けに体勢を向け直す。
この子は俺と同じクラスの…いかんいかん!とにかくそんな事は後回しだ…。まず俺は彼女の口と鼻に手を近付け呼吸の確認をする…
くっ…彼女は息をしていない!
「くそっ!文句は後で聞くから勘弁してくれよっ!」
素早く彼女が着ているブレザーとブラウスのボタンを外し服をズラしブラジャーもズラす。胸が露になるがこれは何もイヤらしい事をする訳ではないのだ。心臓マッサージをする為的確に位置を把握する為だ。
知識はあっても俺は素人…。少しでも助ける確率をあげる為だ。
胸に耳を当てると心臓の音が聞こえない。呼吸をしていなんだから当たり前だ。でも、体温はそこまで失われていないように感じたんだ…。
俺はサバイバル動画の中で人工呼吸や心臓マッサージ等も何度も見てはいるが実際にやるのはこれが始めての事だ。
頼むから息をしてくれよ?
彼女の顎をくいっ―と、少し上げまずは気道を確保。彼女の唇に唇を重ね…息をふぅ〜っと送る。そして素早く今度は心臓マッサージ…
グッ! グッ! グッ!
…ふぅ────!
グッ! グッ! グッ!
ふぅ────!
繰り返しこの行動を行う…
「…はぁはぁ…頼む!…まだ体温は温かいんだ!とにかく息を…息を吹きかえしてくれ!頼むよっ!神様…どうか…どうか力を貸して下さい!!」
グッ!グッ!グッ!
ふぅ───!
はぁはぁ… どの位繰り返していたかは分からない。とにかく必死だった。でも…彼女の顔、胸を見るが反応が… ない…
「…だ…めか? くそっ!くそっ!くそっ!ゴメン…ホントゴメンな?俺には君を助ける事が…」
諦めていたその時だ…
「ぷはっ! ゲホッゲホッゲホッ! はぁはぁ……すぅ…すぅ…」
― 奇跡だ。奇跡が起こった。神様が力を貸してくれた…この時本当にそう思ったんだ…。神様は見ていて見守っていてくれたんだと…。そうでもないとこんな奇跡みたいな事起こらないだろ?
俺は彼女をよいしょっと抱き抱えてシェルターへと駆け出した。彼女をシェルターで休ませる為に…。後は心配なのは…蘇生迄に掛かった時間だ…。蘇生迄に掛かった時間が長いと後遺症が出たりする場合があるからだ…。
だけど…それはもう…神様に祈るしか今の俺には方法がない…
「神様…どうか…どうか…もう一度だけ…奇跡を与えて下さい…」
そんな風に神様にお祈りしながら俺は彼女が無事に何の後遺症もなく目覚めるのを待ったのだった…
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