108 鳳凰暦2020年5月5日 火曜日朝 小鬼ダンジョン
校門前で平坂さんと設楽さんが一緒にやってきた。
本当にヒロイン同士が一緒にダンジョンへ入ってるらしい。DWだと、一緒のパーティーになれるヒロインは一人だけだったので、僕としては不思議な感じがするけど。
あの時に聞いたのは、浦上さんもパーティーメンバーみたいな話だったから、とんでもないパーティーだと思う。ヒロイン3人集めて、ひと枠、空けておくとか、どういうつもりなんだ?
ただ、その3人のパーティーだとすると、バランスはすごくいい。
前衛で切り込み隊長、避けタンクができる設楽さん、攻撃力も高いし文句なし。中後衛でアーチャーの浦上さんが正確な狙いでモンスターを牽制して、接敵順の調整ができるから、そこで設楽さんの圧倒的な戦闘力を活かす。後衛でヒーラーの平坂さんはパーティーリーダーとして戦闘全体のコントロールと回復、か。
チュートリアルの小鬼ダンではそこまで役割分担の徹底は必要ないとしても、それこそ、犬ダンのボスや豚ダンのボスが相手なら……あれ? ドリームパーティーだな、これ? 綺麗どころを集めてるし……アイドルパーティーで攻略掲示板が湧きそう……。
まあ、ここがゲームを超えた現実だとすると、この結果は、実は主人公が3人のヒロインルートの攻略を全部失敗したという可能性も……いや、そうだとしたら、噂のお助けヒロインがやってくるはず……?
あの、プレイヤースキルが壊滅的な人を助けてチュートリアルをクリアさせてくれる生徒会長さんだったっけ? しかも3年の時はそれが平坂さんになるらしい。僕はプレイヤースキルには全く問題がなかったから、お世話になったことはないけど。
あ……この世界は女性プレイヤーを選択した可能性もあるな……?
僕は、ネカマ趣味はなかったから、そっちでプレイしたことはないけど、女性プレイヤーには女性プレイヤーのためのヒーローがいたはずだし、プレイヤースキルが足りない場合はお助けヒーローもいたはず……。
でも、プレイヤーの男女比は、7対3で男性が多かった。女性の3割も、その中にネカマがいっぱいだろうし。もちろん、男性7割の中に実は女性というのもあるんだけど。
……とりあえず、今はダンジョンに集中しよう。ヒロインとは基本、関わらない方針だったし、最近、平坂さんとの朝ダンとか、ちょっとそのへんがブレてたから。
設楽さんが加わって、朝ダンが別になるのなら丁度いいだろうな。
校門が開いて全力ダッシュで二人を置き去りにして、僕は小鬼ダンに突入した。正規の最短ルートではなく、ゴブリンを消滅させながら、落とし穴落としのポイントへ。
迷わず黄色い落とし穴発動ポイントを踏んで、落とし穴の下に跪いた騎士みたいに着地。ふ、決まった。いや、それはともかく、すぐに回転扉の隠し扉で隠し部屋へ。
……やっぱり僕だけだと宝箱が開いたまま、リポップはしてない。これも不思議現象だな。
もちろん、速攻で回転扉の隠し扉から3層の通路へ。この通路は最短距離とは別ルートでのボス部屋ルートだから、3エンカウント9匹のゴブ軍団を消し去って、そのままボス部屋の扉を押して入る。もちろん、叫んでるボスに特攻して、心臓を刀鬼の脇差で一刺し。武器ドロなしで、魔石キャッチしたらすぐに転移陣へ飛び込む。
1層に戻って、7時21分。正規ルートでも20分台は出せるようになったけど、まだ20分台前半のこのタイムはさすがに無理。
でも、このショートカットルートなら、2周目、イケる。
僕はもう一度、隠し部屋ルートのショートカットで、ボスを倒して、今度はバスタードソードを手に入れた。
小鬼ダンの外に出て、7時43分。ちょうど、クランメンバーもこっちに向かってきている。新メンバーの矢崎さんもいる。表情は……あれ? ずいぶんと、明るくなってるような……?
ま、それはそれでいいことだし。
今日は矢崎さんを高千穂・酒田ペアに任せて、僕と岡山さんは隠し部屋でボス周回。伊勢・宮島ペアはひたすら周回の予定だ。矢崎さんは午後からボスソロに挑戦させていく。もちろん、高千穂さんか酒田さんのどっちかが一緒にボス部屋には入るけど。
とにかく、矢崎さんの分も、この先、また増えるかもしれない未来のクランメンバーの分も、ここのボス魔石を大量に確保して、すぐに外ダンへ行けるようにしとくのが、クランリーダーたる僕の役割だ。
今日も一日、頑張ろう! 岡山さんを巻き添えにして!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます