103 鳳凰暦2020年5月3日 日曜日夕刻 桃喰町の鈴木家付近
朝から設楽とのペアでのダンジョンアタック、続けて浦上も加わってのパーティーでのダンジョンアタック、さらには、9時半からは外村たちのパーティーの助っ人として、11時からは飯干・宍道パーティーの助っ人として、ボス戦のキャリーでのダンジョンアタックと、私――平坂桃花は1日に4回も小鬼ダンを周回していました。
もちろん、助っ人の時は、道中の戦闘は私ではなく、そのパーティーが担当するので、そこまで負担はありませんけれど。
設楽と浦上は、私と分かれてからもう一度1層でゴブリン相手に連携の確認をすると言っていました。あの二人もかなりのDJ――ダンジョンジャンキーです。訓練ジャンキーかもしれません。公立出身だとそういうものなのでしょうか?
午後からはクランミーティングで、各パーティーの進捗を確認して、相談を受けてアドバイスを返し、クラン全体の士気を維持します。
GW前に学年主任の佐原先生が1組で私たちの活動を誉めて下さったので、このGW中の士気はもともと高いのですけれど。まさかあの場面でクラン活動の話を出すとは思いませんでした。そうでなければ設楽の暴走を止められなかったのも事実ですけれど。
別に秘密というほどでもありませんでしたけれど、わざわざクラン活動をしているという話もしませんでした。矢崎を追放した附中3人のパーティーも、育成期間終了後に附中4人のパーティーへと組み替えようと企んでいるふたつの附中2人のパーティーも、クランに加えると内部を混乱させる可能性が高いと判断して、仲間には加えませんでしたし。もちろん、独断ではなく、外村と相談して決定しています。
本当に順調です。本当に順調なのです。彼の観察という私の最大の趣味以外については。
今日もクランミーティングの後、駅前のDJバーガーで外村に愚痴を言いました。
私は設楽が嫌いではありません。どちらかといえば、はっきりいって、設楽のことは好きなのです。もう、何というか、本当にいい子で……いい子過ぎて……。それなのに、それなのに、なぜか、私と彼が共に過ごす、彼の観察時間を設楽がそのようなつもりなど微塵もなく、結果として潰していくのです……。
そうして夕方、家に帰る途中でもしかしたら彼に会えるかもしれない、話ができるかもしれない、と桃喰町を散歩しながら彼の家が見えやすいところを偶然、散歩してしまうのです。本当に偶然なのです。たまたま、偶然なのです。そもそも家が同じ町内で近いのですから、そういう偶然はよくあることなのです。
……そうしたら、彼の姿を見ることができました。
ただ、それは、あの子と一緒に、家の中に入っていく、まさにその瞬間だったというだけで。ええ、それだけのことなのです。それだけのことなのですけれど、どうしてこれを愚痴ることができる外村は今、ここにいないのですか⁉
外村、カムバック⁉ できれば大至急でお願いします⁉
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