101 鳳凰暦2020年5月3日 日曜日お昼頃 学生食堂
お昼頃に一度ダンジョンを出て、学生食堂に来るのは昨日と同じ。
私――矢崎絵美は、野菜炒め定食にした。みんな、それぞれ、好きな物を食べてる。
今日も、高千穂とあぶみが私のサポートだ。明日は伊勢と宮島に交代すると聞いた。それと、小さな声で周りには聞こえないように、伊勢と宮島がそれぞれソロ、単独でのボス討伐に成功したと言っていた。すごい。
高千穂とあぶみは既にできていた。私を連れてのボス戦はどっちか一人だけだったから。
私も自分自身の成長を感じる。今日はまだスタミナポーションを飲んでない。そのうち、私もボスをソロで討伐できるようになるのだろう。そう思えるくらい、当たり前の顔をして、あぶみはボスをあっさりと倒す。
「あ、ランナーズが来てる」
「あれ? メンバー、減ってない?」
「辞めたんじゃないの? そっちが正解だし」
「あはは、そっか」
伊勢がちらりとそっちを見て、それだけで目の前の酢豚定食に視線を戻した。高千穂も、直接嫌味を言ってこないのなら、そのまま無視だ。
あの子たちは、第一テストが終わって、順位が公表されたら、そこで高千穂や伊勢が自分たちよりも上の順位にいると知ったら、どうするのだろう?
私なら……そもそも嫌味も、陰口も、悪口も私には言えないが……恥ずかしくて逃げ出すだろう。
……恥ずかしくないから、ああいうことが言えるのかもしれない。
そんなことを思って、私はあの子たちの顔を記憶の中から消し去った。覚えることは脳の領域の無駄遣いだろう。
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