88 鳳凰暦2020年5月1日 金曜日朝 小鬼ダンジョン
今朝も、彼と一緒に、約束もなく、私――平坂桃花は、そのまま当然のようにダンジョンアタックです。ええ、当然のように、です。
今日は、お手伝いの千代さんが注文してくれて、昨日の夜に届いた『ダンジョンムック このアタッカーがすごい! №03 古代新書記を読み解くことで分かる歴史上もっとも偉大なダンジョンアタッカーは誰か』で読んだ、5位ランクインの『太陽の巫女王』と呼ばれた陽魅呼を話題に出してみました。飛鳥朝廷成立以前の、如月時代では唯一名前が残る女性アタッカーです。正確には、アタッカーだと考えられている人物、でしょうか。3位の笙不音讃良皇女が白い狼を従えているイメージ画像はとても素敵でしたけれど、昨日、あれだけ説明していたので、もう話は尽きたのではないかと思います……おそらく、ですけれど……。それと、どうしても女性アタッカーを話題にしてしまうのは私自身が女性である限り、仕方がないのかもしれません。
やはり昨日と同じように、小鬼ダンの中はずっと彼の日本史の講義になりましたけれど――選んでしまった人物の関係で、日本史どころか、東エージア史に踏み込んでしまい、一部は世界史のようになりました――その声を聞き、その横顔を眺め、その戦闘から学ぶことなど、彼の観察はとても、とてもとても価値があります。
そして、歴史的な話題は、私とダンジョンアタックをするという約束していなかったことなど、全て有耶無耶にしてしまうのです。これは本当に素晴らしい効果です。
また、彼の講義の内容も、日本史や世界史の教科書にあるような事実と認定された物事の羅列ではなく、さまざまな考察や、または小説などで描かれた人物像も踏まえて、とても人間味のある、ええ、人間味のある姿を……いえ。正直に言えば、またしても私が選んだ話題の人物は、いろいろととんでもない方だったのではないかと思われる彼からの説明がたくさんございました。衝撃を受けました。
私が話題に出す人物がどこかとんでもないのは、私本人とは全く関係がないということを彼には理解して頂けているのでしょうか……?
あ、昨日に引き続き、私、ボス戦だけしか戦っていません。それでも魔石は均等で、3層の分はひとつ、私が多く、ボス魔石も私が頂いております……。
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