67 鳳凰暦2020年4月28日 火曜日午後 国立ヨモツ大学附属高等学校女子寮


 各生徒に割り振られている専用のアカウントが必要だが、欠席していても常時ライブ配信されてるWEB授業を見ることができるのはありがたい。


 これ、ちょっと前にあった、先生がいきなり自習にして半分くらい時間が潰れた時も配信されてたはず。見直し配信とかはないのが残念。

 そう思ったら少し笑えた。笑った自分に気づいて、そういえば、笑ったのは久しぶりだと気づいた私――矢崎絵美は、自分で考えてた以上に自分が追い詰められていたことに驚いた。


 ……こんなに追い詰められてた。ううん。それだけじゃない。


 外村は私の魔石数は1組で最低だと言った。


 外村の言った通り、たぶん、私は休むだけで、会田たちに仕返しができる。それがこの学校のルールだから。しかし、それだけだ。仕返しが済んで、その後は?


 私にはもう、パーティーを組む人がいない。他の人はもう、ずっと先へと進んでしまった。

 命懸けのダンジョンアタックに足手まといはいらない。それは理解できる。本質的には会田たちが私にしたのと同じことだが、自分にされて許せなくても、そのこと自体は理解できる。


 私はもう、アタッカーにはなれないのか?


 寮の自室の中に、その問いに答えてくれる人はいない。しかし、教室だったとしても、私はきっと、誰にも問いかけられない。私には自問自答しか残されてない。アタッカーを目指すか、あきらめるか、決めるのは私。それを理解して。


 私は泣いた。ただ静かに泣いた。私の他には誰もいないこの部屋で。





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