64 鳳凰暦2020年4月28日 火曜日朝のHR 国立ヨモツ大学附属高等学校1年1組
担任の冴羽先生、退院まだなのかな、そんなことを思いながら、あたし――設楽真鈴は、学年主任の佐原先生の話を聞き流していた。
「……矢崎は休み、か」
そう聞こえて、くるりと教室を見渡す。あたしとは反対側、廊下の方の後ろから2番目の席が空席だった。誰かが休むなんて珍しい。ウチのクラスだと入学してから初めてかもしれない。あ、そういえば担任が休みだった。
でも、その名前って、前にキリちゃんが、何か言ってたような?
矢崎という名前にほんの少しだけ聞き覚えがあったような気がしたけど、あたしはすぐには思い出せない。
「……あー、それと、今日からギルドで、バスタードソードのレンタルが始まる」
それが聞こえた瞬間、あたしの集中力の全てが佐原先生へとロックオンされた。もちろん、さっきまで考えていたことは綺麗にどこかへ消え去ってる。
「ただし、バスタードソードを扱う力量があるかどうか、試験を受けて、認められた者だけが、レンタルできる。その試験の希望者は後で申し出るように」
「はい! 希望します!」
あたしは手を挙げつつ、立ち上がった。
「……設楽、今じゃない。後で申し出ろ」
わはは、と教室が笑いに包まれた。バスタードソードが借りられるなら、どれだけ笑われたって問題ない。
「とりあえず、あたしは申し出ます!」
あたしは再度、佐原先生にアピールしたのだった。
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