61 鳳凰暦2020年4月27日 月曜日帰りのHR直前 国立ヨモツ大学附属高等学校1年1組
学年集会が終わり、教室へと戻ると、元パーティーメンバーの会田が近づいてきた。学年主任の話で、私――矢崎絵美に対して会田たちがやったこともほとんど同じだと気づいたのだろう。
嫌なヤツだと思いながら見ていると、外村が会田に何か囁いて、会田を追い払ってくれた。
「何、言ったの?」
「謝って誤魔化さずに、先生に正直に言いに行けって、言っといたよー」
「そう」
「謝れば許される、謝れば誤魔化せる、そんな考えが見え見えでムカついたから、勝手にしたけど、ごめんね」
「いい。ありがと」
「どーいたしまして。でも、あの感じだと、小鬼ダンの広場とか、ロッカー棟の前とかで待ち伏せするっしょ。矢崎さん、今日は、ダンジョン、あきらめたら?」
「……それも、いいかな」
正直なところ、一人でダンジョンへと入るのは辛かった。外村にそう言われて、なんとなく気が楽になる。
「寮の部屋、ドアの鍵かけて、引き籠ってていーよ。後で、食べ物、何か届けるから」
「……なぜ? そこまで?」
「あいつらにムカついてるからね。いろいろと」
「そう」
外村は私のためだとは言わなかった。その方が不思議と信じられる。
外村は外村のためにやってる。それならいい。
私はたぶん心が疲れていたのだと思う。外村に言われたように、帰りのHRの後は寮へと戻り、部屋に引き籠った。ダンジョンに一人で入らなくていいというだけで、かなり楽になった。
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