42 鳳凰暦2020年4月25日 土曜日午前 小鬼ダンジョン前広場
今日のダンジョンアタックを終えて、ふぅ~とあたし――設楽真鈴は長く息を吐いた。ダンジョンは楽しい。それは本当だけど、同時に、緊張もする。やっぱり、命を懸けてそこには入ってるから。
だから無事に戻ってきたら、ほっとする。その瞬間も好きだと思う。
そんな時、キリちゃんが口を開いた。
「……あれ? 矢崎さんじゃない?」
「矢崎さん?」
「1組の女子生徒。親睦カラオケ不参加組の一人だね」
「……そんな組分けがあるんだね」
「いや、そういう言い方をしただけでそんなのはないけど……なんで一人なんだろね?」
「誰のパーティーだったっけ?」
「うちのクラン以外は、どういうメンバーか、そこまではっきりと覚えてないけど」
「そうだね。あたしも、全然知らないな、うん」
「そもそもマリンちゃん、矢崎さんが誰か、わかってなかったような……」
「気づかれた。それ、言わないで……」
「確かに、口数の少ない子だけど、クラスメイトの名前ぐらい覚えようか、マリンちゃん」
「うう、気を付けます……」
クラスが同じってだけじゃなくて、寮でも一緒なキリちゃんの方がそういうの有利だと思うんだよね。
ええと、盾と弓を一緒に持って、ショートソードを吊るしてるのは矢崎さん。矢崎さん。よし、覚えた、と思う! でも、なんか、珍しい装備だよね?
あたしは、この時、のんきにそんなことを思ったのだった。
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