第3話鏡の使い方

リナは母も、大変だったのだろうなと思った。父をゲットしたのはいいが、毎日父の好みの顔にしてくれと必死にお願いしていたのだろう。写真を極力撮られまい、父に願い事をしている姿を見られまいと涙ぐましい努力までして。


でもサトシと縁が切れたのは、却ってよかったのかもしれない。男は誰でもそうかもしれないが、結局彼も女の外見にしか主に興味がないということが分かったわけだし。


男のことは、とりあえず置いておこう。勉強に励もうとリナは決意した。父が亡くなったので高卒で働こうかと思っていたが、母の勧めもあり大学へ行くことにした。


リナは猛勉強した。鏡にお願いした効力もあってか、一流大学に合格できた。

世のため人のためになりたいと、医師を志し医師になることができた。


医師としても研鑽を積んで、重大な手術も任されるようになった。手術の前には鏡に、成功させて下さいとお願いした。そうすると必ず成功した。

苦痛を訴える患者には、苦痛を和らげて下さいと鏡にお願いした。その患者も安らかに過ごせるようになった。

リナは優秀で優しい医師だと、周りの評判はすこぶる良かった。


いつものように願い事をしようと鏡に向かったら、自分が優しい顔立ちになっていることに気づいた。

母のような使い方が間違っているとは思わないが、世のため人のために使うのが正しい使い方なのかなとリナは思った。


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願いの叶う鏡 ぴろわんこ @pirobigdog

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