結託
何だこいつ。今、俺の目の前にはとても楽しそうに笑っている男がいる。まあ、間違いなくこいつが俺をここに連れてきたんだろうな。そう考えた俺は男に
「おい、何で俺をこんなところに連れてきた」
と聞いてみた。すると
「いや〜酷くない。ここはボク自慢の研究室なんだよ。君を見つけられたのもこの研究室のおかげさ。ここで魔物を研究していたら周囲に張り巡らせていた、ボクの探知魔法が君を発見してね、そのデータをこの研究室が受信してこのボクに知らせてくれたというわけさ。」
へえ、魔法ってそんなものまであるんだーって違う違うこいつ自分のことばかり話してばかりで何で俺をここに連れてきたのか話してなじゃん。
「だから、何で俺をここに連れてきたんだよ!」
「おいおい、そんなに叫ばないでくれよ、せっかく可愛いのに台無しじゃないか。と、君をここに連れてきた理由だったね。それは単純だよ、君に興味があるからだよ。」
「俺に興味?」
「ああ、そうだよ。どうして君はこんなところにいるのかな。もし、ここに自分から入ったなら道くらい覚えてるはずだよ、でも君には初めてここを見るような反応だった。それに迷っていたとしてもこんなに冷静なのは明らかに不自然だ。ねえ、どうして君はこんなところにいるのかな?」
うっ、こいつ鋭いな、それに頭の回転が速い。どうしよう、こいつには嘘をついても通じそうにないし、だと言って転生したという事をそう簡単に言ってしまって言いのだろうか。と考えていると
「へえ、君は転生者なのか。なるほど、だとしたら辻褄が合う。もう、スキルを使うことができるのならばボクに警戒しながら話しかけることができるからね。」
え、は、嘘だろ。俺はこいつになにも喋っていない。なのにどうして俺の考えていることがわかるんだ…まさか、
「やっぱり君は賢いね。そうだよ、正解。ボクは人の心を読むことができるスキルを持っているんだ。だから君の考えていることが分かったのさ。」
ああ、だよなーそうだよなー。心が読めるんだったらもうなにも隠せないよな。何かあいつから隠そうとしてもどう隠そうとしたかすぐにバレてしまうからな。だからもし今戦っても次の手が読まれてしまうから勝てないし。
「うん、その通りだよ。だからボクにどんな隠し事もできないのさ。それに、戦いでも君の考えた通りに相手が行動する時の思考を読んで事前に攻撃内容を知ることができるから簡単に避けたりカウンターを入れられるんだ。」
「うわー化け物だ。で、そんな化け物さんは俺をどうするつもりだ?」
「化け物って酷くない。まあ、それなりに強いと思うけど。そうそう君をどうするかだったね。はっきり言えば君を研究したい。具体的には君というより君に起きた〝転生〟という現象についてだね。」
「…もう転生のことがバレてるからいうけど、俺はスキルや魔法というものがない世界からきたんだ。俺たちはこんな世界のことをファンタジーと読んでいる。だから俺は転生ということはこっちでは受け入れられていると思っていたんだ。」
「でも、君のいうファンタジーであるボクらの世界でも転生という現象は理解が出来ないわけだ。」
「そう、でも俺は今一つの仮説を思いついたんだが、どうだ、聞くか?」
「へえ、興味があるね。ぜひ聞かせてくれよ。」
「わかった。だったら少し確認したいことがあるんだが一つ聞いていいか?」
「なにかな?」
「さっき俺をここに連れてきただろ、あれは一体どうやったんだ?」
「ああ、あれはボクが古代の遺跡から発見した魔法陣を解読して手に入れた転移魔法と呼ばれるものだよ。」
「やっぱりか、じゃあ、その転移魔法はどう言った原理で動いていると思う?」
「うーん、それは考えなかったね。魔法は使えればそれでいいとボクは、いや全人類は思っているよ。」
「俺は、何でそうなるのか。それがわからない限り理解したとは思えないんだ。俺は、転移魔法は空間と空間を繋げる魔法だと思っている」
「なるほどね。君は転移魔法の原理はそうだと思っているんだ。でも、それが転生と何の関係があるっていうのだい?」
「ああ、転生は俺の元の世界という〝空間〟からここの世界という〝空間〟を繋いだということだと考えている。つまり、転生のこの世界に来る仕組みは転移魔法と酷似しているものだと思う。」
「なるほど、つまりこの世界だけということか他の世界も巻き込んだかとういう、規模が違うってことかい?」
「あぁそういうことだ。どうだ結構様になってないか。」
「うん面白い。本当に面白いよ、君は。君といれば、ボクはこの世界の謎にも挑戦できるかもしれない…ぜひ君と一緒に行動させてくれないか。」
うわーまじかよ。とりあえずこの危機的状況から脱出するためにとっさに思いついたことなんだけど、なんでこんなにややこしいことになったんだ。あれ、一緒に行動すればこいつは俺に敵対しないというこということだよな。だったら
「お前は俺についてきたいってことは俺と敵対しようとはしていないってことでいいんだよな?」
「ああ、そうだよ。もし君と敵対してしまったら転生の謎がいっこうに解けそうにないからね。敵対する理由がないよ」
「よし、それならばいい。俺についてきたいのなら条件があるがそれを飲んだらついてきていいぞ」
「一体どんな条件だい?ボクの出来ることならば全て飲もうじゃないか」
「こちらからの条件は三つ
•俺に敵対しない
•この世界での俺の生活を手助けすること
•俺にお前の知る全ての魔法を教えること
以上だ。」
さあ、どう返す?この全てを飲んでくれるとは思えないsi…
「いいよ。」
「え?いいの?」
「うんいいよ。これからよろしく」
「お、おう。」
こうして俺たちは結託した
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