ファーストコンタクト
おお、これがミスリルソードか。全体的に銀色な見た目だな。よし、早速魔力を通してみるか。あれどうすればいいんだっけ?
あ、そうだ【魔力操作】があった。これを使えばミスリルソードに魔力を流すことができるかもしれない。試してみよう。【魔力操作】発動!
すると自身の体の周りに薄い光の膜のようなものが出てきた。
なんだこれ?もしかしてこれが魔力か?じゃあこれをこのミスリルソードに流せば…
そう思って、俺はミスリルソードに魔力をぶつけた。しかし、全く間に魔力がうまく流れず何回も挑戦したが、失敗した。そして魔力が底を尽きたのでそこまでとなった。
くそなんでできないんだ。何回もやってるのに全くうまくできない。まぁ今こんなこと言っても仕方ないし、頭を切り替えろ。
とりあえずこのジャングルから抜け出すことを考えなければ…さすがにジャングルの中には人が住んでいないと思うからな。それにわざわざダンジョンの近くに住む人はいないと思うし。
だとしたらどうするか。とりあえず装備は整えたからダンジョンの時よりはマシだけど。どこの方向に向かっていいか分からないからな。うーん、うん、ダンジョンは危ないからできるだけ離れよう!というこの世界の住民の考えにかけてみるか。
そうして俺は、ダンジョンを背にしてジャングルの中に入っていった。
とは言っても本当に広いな、このジャングル。木もめっちゃ高いし…これ、一度迷ったら2度と出て来れないんじゃないか?
だめだ、だめ。そんな弱気じゃできるものもできないなくなるかも知れないからな。うまくこのジャングルを抜け出せると信じよう。
お、何だあの、うさぎみたいな奴は…鑑定
ホーンラビット D-
成り立ての冒険者でも注意して戦えば勝てる魔物。動きはスキル【突進】を使って突っ込んでくるだけなので分かりやすいが、その分速度が速い。
ああ、やっと序盤で出てくるくらいの強さの魔物になったよ。さすがに、初戦がケルベロスはやばかったからな。
そんなちょっとした安心を感じながらも、俺はホーンラビットの前にたった。するとホーンラビットは俺のことを敵だと認識したのか、突っ込んできた。
『ピギーーー』
鳴き声結構可愛いなと思いながら俺はホーンラビットの突進を避ける。圧倒的すぎるスピードを持つケルベロスとの死闘、そして【思考加速】によるスローモーションのような感覚での戦闘。これだけのことをしているのに今更序盤で出てくるようなやつには遅れを取ることはない。
俺に避けられたのが予想外だったのか、ホーンラビットは数秒間動きが止まっていた。だが、しばらくすると正気に戻ったのか再び俺に向かって突進をしてきた。
それを軽々と避けた俺は、再び驚いて固まっているホーンラビットに容赦なく火球を放ち、ホーンラビットを倒した。
「やっぱりケルベロスに比べたら大したことはないね」
今思えばあの頃の強さでケルベロスを倒すことができたこと自体が奇跡と言っても過言ではないね。まあ、それを乗り越えてここまで強くなったんだけど。
そう思いながら俺は足を進めた。全く変わり映えがしないダンジョンよりは、鳥とかがいるこのジャングルの方が気が楽だな。
◯◯◯◯
「うん?おお、久しぶりだねぇ、ボクの探知魔法に掛かったのは…何でこんなところにいるんだ?ここは世間では魔境と言われている危険地帯だぞ?まあ、ボクはここら辺の魔物で実験したいことがあったからここにいるけど、この子は何でいるんだ?気になるなぁ。確かめてみたい、結構強いようだけどこの探知魔法には気づいていないようだね…どうしようかなぁ。そうだ、サプライズとかどうだろう!ボクの転移魔法であの子をここに呼び出す、そうするとあの子はサプライズに喜んでボクの聞きたいことも答えてくれるだろう!うんとても楽しそうだ…」
そう言った。とある男は退屈が吹き飛んだような笑みを浮かべて準備に取り掛かった。
◯◯◯◯
そうとも知らない俺はただ淡々とジャングルの中を突き進んでいた。
「さっき、ホーンラビットを倒してからどんな魔物とも一向に出会わないな。本来は嬉しいことなんだろうけど、何だか不気味な感じだな」
そんなことを考えていた時、体全身に悪寒が走った。
なんだ、この寒気は…まるで何者かに狙われているみたいだ。魔物には誰かを狙うような知能があるのか?だとしたらまずい、魔物の強さに知能が加わってしまったら勝つことなんてできない。
その瞬間、俺の体はどこからか現れた黒い穴に吸い込むように落ちた。地面にぶつかった俺はこれからどうすればいいか考えながら目を開けた。そこにはまるで玩具を見ているような、楽しそうな目をした黒い髪をした男がいた。
そしてその男は…
「ようこそ、ボクの研究室へ!」
と、とても楽しそうに言った。
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