第1067話 ライブ前の会議

「……では、当日よろしくお願いします」

「ウチからも、できる限りの支援をさせていただきます」

「はい、よろしくお願いします」


俺は差し出された手を握り返す。

今日は年末のライブの打ち合わせ。

目の前にいるのは男性2人。

Vチューバー大手事務所の社長さんです。

ビリライブの社長さんは大矢野明(おおやの あきら)さん、ねおばーちゃるは隅田川丘(すみだがわ がく)さん。

年末、年越しライブとして日本のVライバー事務所大手2社の合同ライブが開催されます。

俺はそこの協賛という形で参加しています。

協賛と言っても取ってきたアイテムを渡しただけだしね。

しかも買取してもらっちゃったし。

……多分、協賛じゃないよねー、これ。

ってことでサプライズ、という名の飯を作ろうと思っているのです。


「ちょっとだけ深層の食材を食べてみたい、と思っていましたがこんな形で実現出来るとは」

「ほんと、ビックリです。こちらからお願いするのが筋なんですが……」

「いえいえ、『三ツ目猫の指輪』を買取していただきましたし、協賛に名を上げてもらったからにはちゃんと支援しないと」

「……いや、施設設備や諸々手伝っていただきましたよね?」

「この後もサプライズを用意していると聞いていますが……何ならギルドが動いているとか」


(*ФωФ)フフフ……

そう、サプライズは食品提供だけでは無い。

もちろん、お酒を準備していたりもするけどまだまだ用意している。

今回のイベント、横浜の三会場を押さえているから結構広く使える。

何なら神奈川県から許可もらってます、はい。

となれば思いっきりやってみよう!という話になりました。

最初に福崎さんに構想を話したら頭抱えられたけど。

……その後ノリノリで本部に連絡していたのは内緒。

福崎さん、ビリに推しのアイドルがいるってさ。

名前言われてもピンと来なかったけどね。

ほう……とか言ってたかな?

後で探しておこうっと。


「さて、もう昼の時間ですか……田島さん、ご飯とか如何ですか?」

「あ、じゃあ僕も一緒に行こうかな」

「し、社長2人も来るんですね……」


ランチについては考えてなかったなー。

いや、会議の終わる時間的にも昼飯になるとは思ってたけどサッと食べて帰ろうかなって。


「お昼となると……私のおすすめは池袋の系花ラーメンですね。学生の時によく食べてた思い出の味です」

「あ、熊本の系花ですか?そういえば東京にも店があるとか何とか」

「田島さんは熊本の人ですからね。系花よりは関東のご飯の方がいいのでは?僕のおすすめは月島のもんじゃですけど」


おぉー、もんじゃもいいねー。

後系花は関東限定メニューがあるので少し引かれるものもある……

うーん、悩ましい。




……あ、そういえば。

この近くに讃岐さんの知り合いが飯屋やってるって言ってたな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る