第1024話 肥後の大鬼 大牙野豪鬼

「グラララララ、なーんだ。もう決着ついちまったのか。それはコボルトに悪い事をした。すまんな」

「いい。我も敵と思い攻撃した。お互い様だ」

「そうだ!これから飲みに行こうや!東京に地元九州のうまい焼酎を出す居酒屋があるんだ!朝までぱあっと飲み明かそうや」

「「それはダメでしょ!!」」

「……亜人だとしても見た目がコボルトだから話題騒然、飲みどころの話じゃなくなるぞ」

「あ、それもそうか。グラララララ!」


……全く、豪鬼さんは大酒飲みなんだから。

豪鬼さんがここにいる理由は何となく察した。

年末のビリライブとねおばーちゃるの合同年越しライブの準備です。

協賛に俺が入っているからねー。

一応サプライズの予定だからまだ公開できないけど、ゴン太や保部など地元のメンバーに協力してもらっています。

いやー、お財布からお金が無くなるよー。


「というか、お主ひとりでここまでやってきてのかえ?ランクはいくつじゃ?」

「ん?探索者のランクか?確かDだったような?」

「はぁ?!その強さでか?!……熊本はどーなっとるんじゃ……」

「あらたの坊主。言ってやれよ」

「いやー、だってー」

「「筆記試験苦手なんです(だよ)!!」」

「……いや、筆記試験の方が楽だろ。日本のランクアップ方式が分からんが」


いや、マジでムズいよ?

だって、資格じゃ細かいところをつついてくるから覚えきれないって。

ダンジョンの通行時は左側通行とか知らんがな!

ダンジョンに入ったら常識なんて通用しないっての!


「後、不正防止で指定されるペンがダメだな。安物だから握ったらすぐ折れちまう。いつも最初にへし折ってプルプルしながら書いてたからめんどくさくて辞めた」

「あ、同じですー。集中しすぎて無意識に力入るんですよねー。ペキッて音が鳴るのも集中が切れてやる気が無くなるし」

「……規格外がここに響いてくるのか」

「こりゃ、抜本的にランクアップ試験の見直しが必要じゃのう……じゃが、この前の法改正で実力でランクアップする方針になったじゃろ?何故まだそんな低ランクなんじゃ?」


葛葉さんの言う通り。

法改正でランクアップ方式が見直されて経験年数によるランクアップも出来るようになった。

俺がSSSランクになった法律でもあるね。


「そりゃー、俺はダンジョンに入ることがねぇからな。今日で何年ぶりだ?4年振りぐらいじゃねえかな?そもそもまだ探索者ライセンス?を貰ってから10回も入ってねえからな」

「……それはランクアップせんのう。経験年数が足りておらんタイプかー……」

「そういうこった!あ、途中素材とかあったが拾ってこなかったから違反はしてないぜ!俺はコボルトキングと戦いたかっただけだからな!グラララララ」

「そ、そうかそうか。ルールを守ってえらいのう……」


あ、葛葉さんが呆れてるー。

ま、豪鬼さんはこんな人なので。

気にしたら負けですよー。







「(そういえば、地元のダンジョンはよく潜ってますよね?あれカウントしてないんです?)」

「(そりゃ、おめぇ。あそこはギルドの職員がいないからギルドパス出さなくていいだろ。だから正式記録はないぞ。それにあそこのダンジョンボスは俺だぞ?あのダンジョンにはいる時は探索者では無ぇよ!)」

「(……あ、はい)」






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