第1017話 チワワと柴
:こ、コボルトだ!〈500円〉
:なんかかわいい
:この前の映像のやつとはえらい違いだな
:白旗?
:ワンコ!ワンコ!〈50000円〉
:いぬだー!!!〈10000円〉
コメント欄が一気に沸き立つ。
そりゃそうだ。
目の前にいるコボルトは一般的なコボルトとは見た目が違う。
コボルトは狼男―ウェアウルフ―に似て面長な顔が多い。
イメージとしてはハイエナみたいな顔。
色はマチマチだけど顔の形はほとんど一緒だそう。
けど、目の前にいるのはどー見てもハイエナでは無い。
なんならこの前エクスがハッキングした監視カメラ映像に写ってたコボルトとも違う……
「……チワワと柴犬?」
「クゥ……クゥ……」
「キャウ……」
「な、なんか想定と違うんじゃが?たった2匹で?それに白旗とな?」
「……向こうからの戦闘の意思は無いということか?珍しい。見た目もさることながらよく考えている」
エクスが感心するように首を縦に振る。
まぁ、明らかに過剰戦力だもんな。
葛葉さんの術式しかり、エクスのドローンしかり。
魔力に関しては多分俺がダダ漏れだろうから並のモンスターなら逃げるはずだもんね。
それにこのコボルト達小さいんだよね。
小型犬だから?もしかして子どもとか?
……謎だ。
「……ふむ、あーさん。共通言語魔法をかけてやれ。それで意思疎通がはかれるだろう」
「あ、それもそうか。そーれ」
「クゥ……クゥ……オタスケ……オタスケ」
「キャウ……オツヨキヒト……オサヲオタスケクダサイ……ワレラガサトへ……」
「へ?助けを求められた?」
モンスターから助けを求めるってある??
驚きなんだけど!?
しかもコボルト達が泣き出したからさぁ大変。
意思疎通はできるようになったと思うけど泣いてちゃ話が聞けません。
「うーん、とりあえずコボルト達に会いに行った方がいい系?」
「……だろうな。恐らくこのコボルト達は亜人に進化する前の一族だろう。もしくは……」
「……深淵に住む者、か。深淵は特殊な生態をしておるからのう。こっちの常識とは違うことが多い。チワワや柴犬の見た目なのもそれじゃろうて」
確かに。
この前深淵に行った時もミノゴイル(俺命名)と戦ったけど見た目凄かったもんね。
ミノタウロスっぽくもあり悪魔っぽくもあり。
深淵から上がってきたのなら辻褄が合うかもね。
とりあえず泣いているコボルト達を連れて群れのところまで行きましょうかね。
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