第1002話 子どもたちへのプレゼント
「……探索者志望のちりちゃんはともかく、りゅうくんはどうしてるんだ?」
「あ、そっちもバッチリです!あらた」
「あぁ、りゅうくんは……これだぞ!」
俺はアイテムバッグから取り出す。
テレテレッテレー、モンスター図鑑ー。
ちりちゃんに影響されたのかりゅうくんもこれを欲しがったんだよねー。
まぁ、ちりちゃんはドラゴン系がたくさん書いてある図鑑だったけどりゅうくんはゴーレム系の方を選んでたけどね。
……なんだよエクス、その目は。
「ごーごー、すきー」
「りゅうはおっきいモンスターがだいすきだもんねー」
「……クリスマスプレゼントに図鑑って……それ許されるのお前のところだけだろ……それはともかくりゅうくんはゴーレムが好きなのか。よし、俺がゴーレム操作について教えてやろう」
「キャッキャ!ごーごー!」
「いいなー!ちりもちりもー!」
「……何だろう。お前が教えるとオタ芸を覚えそうでやなんだけど」
「……シバくぞ?」
はいはい、機関銃仕舞えっての……
けど、ゴーレムの操作って難しいらしいな。
日本でも使えるだけで履歴書にかけるぐらいには資格として認知されてたよね。
ゴーレム操作出来る人はクレーンとかの特殊車両の操作技能が飛躍的に上がるらしい。
建築業界がとんでもない給料で募集してるとか何とか聞いた気がする。
ダンジョンの整備とかも大変だからねー。
「……りゅうくん、まずは粘土を動かすところからだ。ちりちゃんも同じようにやってみよう。線を意識してこの玉と玉をくっつけてみろ。イメージ出来たら円を描くように転がすんだ」
「うー?……うん、やってみるー」
「むー!つーなーがーれー!」
「いや、もう始めてんのかい!はえーよ!日本に帰ってからでええやろ!」
「……何を言う。早めにコツを掴んでおくに越したことはない。何、あーさんの息子だ。すぐ覚えるだろう」
「俺への信頼ありがとう……なんか複雑だけどな!」
「あ!エクスおじちゃん!すこしうごいたよ!」
「……ふむ。あーさんの子どもだけあって飲み込みが早いな。ちりちゃん、線のイメージを忘れるなよ。そのままひとつずつ丁寧に繋げていこう」
「ふんす!がんばる!」
……エクス先生、丁寧に教えてるなー。
そういえば学生時代も同期のレポートとか指導してたっけか。
ノート、すげー見やすいとか言われてたもんな。
……しれっと自動文字起こしで転写していたのは見逃してないぞ、俺。
けど、子ども達がモンスターに興味があるのはいい事なのかな?
ダンジョンは生活に切っても切り離せないものになっているし。
探索者を始めて大怪我とかしないように俺も教育しないとね。
いのちだいじに、ゆるゆるのんびりですからね!
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