第933話 残り4つ ~ オーコ ~

(まさか!まさかまさか!本当に伝説の!スキルの説明を見た時は信用出来なかったが本当だったのか!)


俺は目の前を飛翔するシャンタク鳥を眺める。

シャンタク鳥はタジマアラタとアステカ神話の神々を交互に襲う。

シャンタク鳥は地球上の神々が誕生する前、地上いや太陽系を支配していた者が使役していた魔物。

ランクルがかつてダンジョン深淵で見つけたと言っていた魔導書に少しだけ記載が残っているだけで地上にはほぼ存在がわかっていない伝説の魔獣。

今の神々が誕生したことで太陽系から離れたとされている者たち―いわゆる旧支配者―は深淵にもいると言われているがそれの確証を得ることは出来ていない。

ランクルも生涯最後の研究とか抜かしていたほど旧支配者の痕跡を探し研究するのは至難の業だそう。

それが、たかだか人間のスキルで!

こんな奇跡あっていいのだろうか!


(まだ未解読のスキルは4つ……くそ、『解析』に魔力を思ったより持っていかれた……)


俺は魔力の残量を感じて焦りを覚える。

無限に湧いて出てくる魔力も冠の『解析』の前では心もとない。

いや、足りていないかもしれない。

残る4つの封印されたスキル……

後一つ『解析』が完了するので俺の魔力は枯渇する。

このスキルで何が出来るのか、それは分からないがシャンタク鳥の召喚が出来るのであればおのずと予想はできる。


(旧支配者関係のスキル……もしくは旧支配者の力が使える!)


神は信仰心によって強さが変わる。

信仰心はほぼゼロに近いアステカ神話の神々であればこの戦いで殺すつもりだった。

だがもし旧支配者の力を自在に使えるようになれば……

インド神話、ギリシャ神話、なんなら北欧神話の神々だって赤子のようにひねることが出来よう!

まさか、まさか人間のSSSランクをコピーしただけでここまでの成果が得られるとは!

タジマアラタ、お前は素晴らしい。

この手で必ず仕留めてみせようぞ。

周りを見るとタジマアラタがシャンタク鳥に吹き飛ばされているところだった。

俺は雷となり魔力を込めた拳でタジマアラタを殴りつける。


「あぶな!ちょ、あの鳥どーにか消してくれません?鳥系苦手なんですから……」

『ふん!そんなもん知らん。そもそもお前のスキルだ。お前、消し方もわかるだろう?』

「あんな変な馬鳥なんて知らんですよ!馬は馬刺しですけど鳥と混じってるなんて!刺身にしたらカンピロバクターが怖い!」


……コイツ、この期に及んで何言っているんだ?

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