第931話 警報音
『ぐぬぬ……はぁ!』
オーコが叫ぶと俺に向かって玉を投げてきた。
ブチッという音と共に腕ごとぶん投げてきやがった!
「ちょ!それは想定してないって!草千里!」
俺は慌てて大剣をアイテムバッグから取り出して構える。
そしてタイミングよく……!
カッキーン!
「おー、いい音出たなー。確か『迷宮解放』で呼び出したモンスターって一定距離離れたら消えるんだっけ?……召喚した意味なかったかー」
「……アンタ、なんで野球やってんのよ……しかも吹き飛ばしたアレ、ヤバいやつじゃない!」
「『吸血ボール』……正式名称は『シアエガの眷属』主たるものの為に魔力を集め続ける者。アレ神格が出現する前、神話にも残っているか怪しい古の神々、『旧支配者』と呼ばれる者達の眷属なんだけど……どこで見つけてきたの?アレは地上から消滅しているはずなんだけどな」
「それま?『旧支配者』って何?!アレはうちの地元のダンジョンにいただけなんだけど……正確には裏ボスだと思うよ?ダンジョンのラスボス、ミミ達の親父だったけど、ボス部屋っぽいおっちゃんの部屋の裏に隠し通路があってな?その先におったんよねー。いやーあん時は大変だった」
「……やっぱアンタ人間辞めてるってマジで……まぁ『シアエガの眷属』はほぼゴーレムに近いからダンジョンの奥に眠っててもおかしくは無い……けどやっぱりおかしい!!!」
……そんなに言われるとやっぱり人間辞めてるのかね、俺。
俺が打ち上げた吸血ボールはダンジョンの彼方に飛んで行ったのでオーコとの殴り合いがまた始まりました。
吸血ボール君……もう少し体力減らして欲しかったな!?
いや、冗談抜きで攻撃が重い重い。
一撃一撃受ける度に地面にヒビ入るし受け流したら後ろの壁ベッコリ凹むし。
いやー、巨人のパワー恐るべし。
あと足元にゾンビ湧くのも地味に嫌。
地面ぐちゃぐちゃのぬかるみになるんだもんー。
踏ん張るにしても足掴まれてビクッってなるんだもんなー。
『はぁ……はぁ……くっ、力が』
「や、やっと魔力切れ?な、なげーよ……何分やってたのよコレ……はぁ」
『き、巨人の力は無駄が多いな……身体を維持する……だけで魔法を打つ余裕が……無い……』
オーコが息も絶えだえに仁王立ちしている。
巨人化は終わって今はほぼ俺の姿。
肌の色が若干青が残っているけど、あれ巨人の皮膚の色じゃなくてオーコ本来の色っぽい。
さすがに調子こいて魔力を、使いすぎましたね。
いや、俺も結構魔力ないけどね?
エーテル飲まないとやってられない……
グビっと1本、エーテルを飲んでいると……
ビィィィィ……ビィィィィ……ビィィィィ……
先程も聞いた、警報音のような機械音があたりに響き始めた。
……何か、またとんでもないことが出てくる?
そんなことを考えていると、オーコさんがニヤリと笑う。
よく見ると王冠が赤く輝いている……
『クハハハ……なんと、なんということか!そうか……これは、傑作だ!クハハハ!』
「……何が傑作か教えてもらうことって?」
『クハハハ……良かろう、これはお前も知らない情報らしいからな!……スキル発動『邪鳥ヨ此処二顕現セヨ』!』
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