第924話 タジマアラタの力 ~ オーコ ~
(何という力だ……!無限に身体の奥から魔力が湧いてくる……!)
俺は自分自身の身体の変化に驚きながら空を舞う。
敵タジマアラタの力を手に入れ、試しに使用してみたがスキルの力に溺れてしまった。
まさか神のスキルを持っているとは!
キュクロープスの老いぼれや機械神デウス・エクス・マキナ、破壊神シヴァと知り合いだとは聞いていたがまさかスキルまで持っているとは!
俺の手に入れた冠、『大変化の王冠』、いや『シサギタクシアスの骨の冠』
敵対するものの血または肉片を冠の中央にある石に擦り付けることで100パーセントコピーすることが出来る古代兵器。
古代ケルトのドルイド達が真なる闇を求め探究していた際に見つけたとされるアーティファクト。
代々王家には『世界の危機の際、真の勇者に変身するため、または勇者を救う賢者となるための王冠』と言われていたが……
あの『狂宴』が見つけ出した古文書、そこに記載があったことは知っていたが性能は本物だったとはな!
しかも『解析』と呼ばれる固有スキルのお陰で過去に『解析』されたモンスターをコピーしその身に写すことが出来るとは!
古代北欧神話の無名の巨人が『解析』されていると知った時は小躍りしたものだ。
……だがそれ以上のものを手に入れた!
しかも『解析』も完了している!
(全く!投げ飛ばされているとはいえ顔が笑ってしまう……タジマアラタ、お前はまだ隠されたスキルがあるな……どれどれ……ふむ、『黒豹神の鏡』?……なんと!アステカ神話だと!?あれは既に滅んでいたはず?!……なるほど、深淵に逃げて信仰の崩壊から逃れていたのか……!)
(『樹鹿王の導き』……対アンデッドのスキル、これは北欧のエイクス・ユルニスの持つと言われている固有スキルでは?!アイツ、神格のスキルばかり持っているではないか……)
(白澤……あぁ、中国にいた爺か、回復薬などの調合成功率上昇、戦闘系では無いな。『仙桃招来』?桃なんて召喚してなんとなる?今の俺には不要だな……他には……なるほどなるほど!)
俺はタジマアラタのスキルを見ることに集中しすぎてメキシコのやつから魔法をかけられていることに気づかなかった。
気づいた時には巨大なトカゲの口の中に居た。
全く……コイツのスキルを見るのは楽しくて仕方ない!
「……『造兵局 神造化兵』」
俺がスキルを発動すると魔力が急激に抜けていく感覚に襲われる。
トカゲの口の中、食道、その他肉壁から次々とゴーレムが飛び出してくる。
全身がオリハルコンで出来ているゴーレム達はそのままトカゲを体内からズタズタにしていく。
その姿、まさに蹂躙。
「クハハハ……クハハハ……」
俺の口からは歓喜の笑いしか出てこない。
俺は、今、最強の力を手に入れたぞ!
(まだだ!まだコイツには隠された力があるはず……む、これは)
俺はタジマアラタのスキルを観察していく。
するとスキル名が読めないスキルが見つかった。
しかもひとつではなく複数……
(タジマアラタが秘匿している?にしてはそんな素振りなかった……もしや、タジマアラタが知らないところで封印されているスキル?……)
(5つのスキル……冠の力で封印を解除出来るか?……いや、解除しなければならない!タジマアラタが知らないスキルならそれをひとつでも持っていれば切り札になる!)
「『解析』、スキルの封印を解く!『シサギタクシアスの骨の冠』よ、魔力はいくらでも持っていけ……必ず封印を解いてみせよ……!」
頭が割れるような音が響きわたり、魔力が冠に向かって流れていくのがわかる。
ふと足元の血溜まりを見ると頭に乗せた冠が鮮やかに輝いているように見えた。
……さぁ、戦おうぞタジマアラタ!
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