第925話 『コピー』ってめんどい

「スキル『コピー』って言うのは対象の姿や声、魔力や技をその身に写すスキルなの。そもそも『コピー』を使用できる術者の技量によって写せる力も変わってくるし」

「へー、ってことはオーコは達人クラス?」

「あれは元々のスペックもあるわよ。妖精って『コピー』に似たオリジナルスキルを編み出しているの。アレも一応は王族だったやつだし覚えてはいるでしょ」


チャーリーさんの解説を聴きながら、俺の質問にケルーさんが答える。

オーコ、思ったより飛んだから時間稼げそう。

ついでに『ストーンレイン』も降らせてたから多分もう少し遅くなるね。

けど、話を聞く限り『コピー』って中々面倒なスキルなんだね。

使う人はコピー対象の能力に作用されるし、そもそも強くないと完全コピーは出来ず劣化した能力になるそう。

また敵として出てきた時はコピーの力によっては激戦になるそう。

まぁ、自分自身との戦いですからねー。

少年漫画みたいに己に打ち勝つ、って簡単に言うけど中々難しいもんね。


「だから、さっきしれっとオーコぶっ飛ばしたアンタは人外だって訳」

「……いや、その理屈はおかしい。オーコがスキル使いこなせてなかっただけですって」

「フフッ、それもそうだね……けど、オーコの『コピー』はもっとタチが悪い」


テスラさんが顔をしかめる。

……どんな時でも飄々としているテスラさんにしては珍しい。

一体、どんなことが……


「タチが、悪い?テスラさん、詳しく教えてくれますか?」

「……スキル『コピー』は使いこなせばほぼ完全に対象の魔力、スキルをコピーできる。けど、コピー出来ないスキルもある……」

「そ、それはこの世界を歪めないためにせ、設定されたとも言われているる、ルールです」

「今までこんなとこ無かったわよったく……神に唾を吐くフラクシアとはよく言ったものね!」

「あーさんならピンとくると思うわよ?私たちが頭を抱えてるってことで」

「……すんません、全く検討もつかないっす」


4人がずっこける。

おぉー、日本に半年もいたら新喜劇のノリもマスターできるようになっ


ドゴッ!


いってー!


「このどアホ!シバいたろか!?」

「け、ケルー!お、落ち着いて」

「もう頭蹴り飛ばしてるじゃないですか!頭引きちぎれるかと思った!ちょい血が出ましたからね?!」

「……実際ちぎれかけてたわねー。あーさんの背骨強くない?ちょっと調べてみたくなっちゃった」

「……ケルーの蹴りはドラゴンぐらいなら余裕で切断できるんだけどね。後チャーリー、研究は後々。さて、話を戻そうか。スキル『コピー』でも手に入れることが出来ないスキル……それは神のスキルさ」



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