第905話 オーコ、変身する

『……オブシディアンゴーレムの姿、速度重視でも中々の防御力を誇るな』

「……声、こもってますね」

『気になるところそこか?』


一応配信者なので声が聞こえるかは気になっちゃうんですよねー。

これでも登録者数数千万人いるのでね!

オーコの姿、オブシディアンゴーレムの外皮をコピーしてるっぽい。

オブシディアンって確か黒曜石だっけ?

あれ、結構硬いんだよねー。

しかも割れたところが鋭いから切れやすい。

ちなみにオブシディアンゴーレムは俺話だけしか聞いたことは無いです。

素材はトミーに見せてもらったことあるぐらい。

……握り潰して殴られたなー。


『さぁ、いくぞ』

「よ、よーし。『巨人の拳』!『造兵局』アーマーモード!……せい!」

『……そのスキルも大概だな。キュクロープスの加護とデウス・エクス・マキナの加護。人間としては破格』

「……友人に恵まれてまして」


オーコと睨み合う俺。

……正直対人型ってあんまりないんだよねー。

そりゃ深淵に行った時にフラクシアの化け物達と対戦したけど、何か最後は巨大モンスターに変身してたしなー。

直近だとあのクソピエロか?

名前覚えてないけど。

……あ、リッチもいたな。


『……ハッ!』

「てい!」


ガチンッ!


オーコと俺の拳が衝突する。

『造兵局』で補強された拳がメキメキと音を立てる。

オーコの腕も同じく、何ならヒビ入ってますね……


『ほう!ヒビなんて初めてだ!たのしいなぁ!?』

「楽しくないので引き下がってもろて……」

『何を言う。ならお前が死ね!』

「僕は死にませーん!てか家族がいますから!……って!」


ブシュ!


音を立てて俺の手から血が出る!

よく見るとオーコの拳から鋭い石が……

砕けた時の破片を瞬時に固めてナイフを作ったのか!

ちょ、それは想定外だっての!

ポーションポーション!


「……ひぃ、ぶっかけてっと……よし、止血完了……マジ何?!いつの間に!」

『敵に『今からナイフ突き立てます』とか言うか?……タジマアラタの血、なるほどな……』

「うわぁ、血を見て楽しむ系?やめてよぉサイコパスやんー」

『……』


俺の血にまみれた腕をマジマジと見たあと、俺を見るオーコ。

……ペロッと舐めないだけマシか?

俺そういうのほんと苦手なんよねー……

血を舐めるとか体に悪そうだし。


「コラー!そのツッコミー、それはないやろー。はよ倒してしまいー」

「タジマさーん、がんばってくださーい」

「……オブシディアンゴーレムの外皮にヒビ……あーさん、人外説がまた1歩」

「くぅ、外野めー!バフかけてくれてもいいじゃないですか!」

「「「いや、必要なくね?」」」


……ちくせう。

普通バフあった方が楽ですからね?!

チームメンバーの危機を助ける的なことしてもいいじゃないですかー!


「ほんと、ヘルプ!エクス、バトンタッチ!」

「……いや、お前指名じゃん」

「男同士の決闘に割り込むのもあれやん?」

「一体一の方が後の処理楽そうですしー」

『……なんというか聞き分けがいいのか悪いのか。お前、悲しくないか?』

「……くっ、オーコから哀れみの目を」


解せぬ。



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