第886話 ショートカット開通

「……なんだろう、何か悪いことしてる気がします」

「こんな経験、初めて」

「……そりゃそうだ。こんなもん、複数回あったらダンジョンの概念が崩壊する」

「エクスさんもそこまで言わなくてもー」

「そうだぞ!人生楽しまないとな。エクスも辛気臭い顔しなくて笑顔になろうな!はい笑顔むけろよ!」

「……ふん」


あ、陽キャのノリについて行けてないやつ。

……睨むな睨むな。

ダンジョンをぶっ壊し、ショートカットを開通させた後、観音様の手に乗って一気に下層へ降りていく。

手の長さが足りなかったから無理やり伸ばしているけどエクスからジト目で見られた。

いいやん、手伸びたら便利やん?

机の下とか自販機の下ゴソゴソ出来るし。

……あれ?チャドラさんとニーサさんからもジト目で見られた。


なーぜー?





「さて、もうすぐ山頂につきますけどこれどこに降りればいいんです?」

「第6階層から第7階層へは自由落下だ。山岳エリアでもある第7階層から第9階層は山を下るだけ。どこに降りてもいいけど……タジマ!あそこを見ろ」

「うん、いる」

「わぁ……今日はゴーレムの日か。土属性のゴーレムは炎効きにくいからきらーい」


マローさんの指差す方を見ると山頂が動く。

……いや、地面が波打つ?

あ!あれ、全部ゴーレムか。

頭が平でみっちり詰まってるから地面のように見えているんだ。


「……ロードヘッドゴーレムか。頭が平で地面に同化しているから下層以下なら道のように利用出来る非戦闘系モンスターだな。アレなら問題ないだろ?」

「ボクも1度遭遇しましたけど殴っても攻撃されませんでしたねー。ならサクサク進みますか?」

「待つんだグリュン。普通のダンジョンなら、な。ここのロードヘッドゴーレムは好戦的だ。一匹でもキレて戦闘態勢になったらどんどん広がって、数で攻めてくる。見た感じ、すでに戦闘モードっぽいから先遣隊がちょっと前に通ったっぽいな?こりゃ追いつくのも時間の問題か?」

「あ、もう追いつくんですか?流石ショートカット」

「……先遣隊の意味、説明したろか?」


……さーせん。

けど早く帰りたかったんだから仕方ない。

とりあえず地面に降りるのはやめて移動する方向で。

観音様の手から次のルートを考えましょう。







「……あ、そうだ。なんか見覚えあると思ったらBLANCHのドーベルマンの隊長とマトリョシカの隊長の蛮解を足して2で割った感じじゃないか。さてはハマってたな?」

「それそれ!あれ、ハマってたんだよなー。俺、主人公より八番隊の隊長が好きー」

「……俺は十一番隊」


……ガシッ!


「なんで二人共握手してるんです?」

「まぁ、同士的な?」

「……ここだけは信頼出来る的な?」

「なるほどーわかりませんねー」


……よーし、エクス!

グリュンさんには今度DVD全巻送り付けてやろう。

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