第884話 山岳を飛行して~おりん視点~

「はぁーかったるー。ここに来て山て……休み無しで来とるからキツイって……」

「仕方ないんじゃなーい。ここ、アメリカで不人気ダントツ一位だし」

「せやかてケルーはん。空飛ばないと移動もままならないは異常やて。地上見てみ?ゴーレムがひしめき合っとる……」

「俺としては平然と空を飛んでるおふた方の方がやばいですって……あ、もうすぐ第8階層のボスですよ」

「せやかて、あんさん達も空飛んでますやん。鳥の背に乗せて……皆連れてえらいこっちゃで」


私はボヤきながら式神である折り鶴を撫でる。

アメリカからの要望でデスバレーダンジョンという超難関ダンジョンに今潜っている。

メンバーはメキシコSSSランクチームの四つの太陽とアメリカSSSランクチームライトニングフェニックスのメンバー。

今喋っていた男性はライトニングフェニックスのジェスさん。

今は石が宙に浮かんでいる山岳地帯の上空を飛んでいる。

ケルーさんは腕を羽根に変えて空を飛んでいる。

……流石アステカの神様だねー。

普通手を羽根に変えただけで空は飛べないと思うんだけど。

ちなみにジェスさんは巨大な鳥に乗っている。

四つの太陽のテスラさん、トロさん、チャーリーさんも同じく鳥に乗って飛んでいる状況。

なかなかにシュールやねー。


「やーっとボス部屋かー……長いてー。てか、5人も乗せて重くないんか?アジャナはんも人間やろ?魔力大丈夫なん?」

『クルルルル……モンスター化しているとダンジョンからの供給があるので飛ぶだけなら大丈夫です。後追加でジェスから供給してもらっているのでまだ楽ではありますね。まだ傷が治ってないので』

「いつもは攻撃は俺が、アジャナは移動に専念してもらってます。俺たちがダンジョンに潜る時はいつもこの流れですね」


そう、もう1人ライトニングフェニックスから参加者がいる。

この鳥、実は人間です。

名前はアジャナヘル・チャネル。

アメリカのSSランクの探索者でユニークスキル『バーサク』を持つ男。

基本はライオンやトラなどの猛獣に変身して戦うスタイルらしいけど、こうやって鳥の姿になることも出来るそう。

一応四騎士?とこの前戦闘したらしくまだ傷が完治してないそうで、今日は移動などの裏方メインらしい。

空も飛べるってなんでもありやなー。

私が言えることでは無いけど。


「流石アメリカのSSランク、『幻影の虎』アジャナヘル・チャネル。メキシコでもその名は有名だよ」

「と、鳥にも変身できるのは、し、知りませんでした」

「無理だけはしないようにね?一応周辺にはドラゴン、ワイバーン系はいないけど、グリフォンはいるみたいよ。おりん!そこ」

「あいさー『狐火 芝桜』!……ほんま、チャーリーはんの感知はすごいなー。尊敬するで」


岩陰に潜んでいたグリフォンに狐火を当てる。

ダメージを受けたグリフォンはそのまま逃げ出す。

飛んでいった方向を見ると宙に浮かぶ巨大な岩が。

……あ、挟まれた。


「……ほんま、ダンジョンってケッタイやねー。浮かんでいる岩もおかしいけど雷落とす岩に爆発する岩。しかも突入してすぐ真っ逆さまに落ちるとか聞いてないで」

「入口が空の上ですからねー。ここに入るとボス部屋、しかも最下層まで行かないとポータルがないんですよ」

「……ほんま、引き受けるんやなかったなーこの依頼……これでまだメインに到達しとらんのやろ?先長いでー……」

「ご飯とかは私が作るから安全地帯の準備は任せたわよー」

「ち、チャーリーの料理だけが、だ、ダンジョンの楽しみになってきました」

『クルルルル……確かに!深淵のフルーツは気に入りました』

「おや?アジャナはフルーツがお気に入りなんだね。てっきりドラゴンの肉の方が好きかと思っていたよ」

「あー、テスラさん。その辺アジャ気にしてるんですよ。見た目猛獣だからファンからの贈り物も肉が多くて……彼、体質的にお肉そこまで食べれないんです」

「えー!その戦闘スタイルで?!肉は身体を作る栄養源なんだからしっかり食べなさいよ!某アイツは肉ばっかり食べてるんだから」

「あぁ……」

「うん、そうだね」

「まぁ、そうねー」

「で、ですね」

「……皆さんの反応で伏せられても分かりますね」

『クルルル……流石話題の日本人、ですね』


アジャナさんの言葉に一同が苦笑する。

まぁ、あの人は色々おかしいからなー。

ふとSSSランクでサラリーマンをやってる人の顔を思い出す。




ドンッ!!!!




「はっ!?なんや?!今の衝撃!?」

「ドラゴン?にしては殺気がない……」

「おやおや……」

「あ、こ、これはもしや……」

「まーた、なーにしてるのかしら?」

「……おりん、準備した方がいいわよ?」

「へ?何言うてんの?!」

『っ!皆さん!上を見て!』

アジャさんの言葉に皆が天を向く。




ゴゴゴゴ……




天を見上げると空にヒビが。

亀裂がどんどん大きくなりパラパラと石が降り注ぐ。

な、何が起きているの?!






―――――――――――

閲覧ありがとうございます!


そういえば、昨日の更新で総文字数が100万を超えてました!


……長いところまで来たもんです。


今後ものんびりコツコツ投稿を続けていこうと思いますのでよろしくお願いします!


星、ハート、コメントよろしくお願いします!


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