第879話 あーさんの黒歴史(ガチ)

「うーし!やっていくかー。砂嵐はもうすぐそこだしな!あ、風強!目が!目がぁー!」

「……あちぃ……お前、マジで何やる気だ?変な事やったらシバくぞ?……で、『造兵局』と『巨人の拳』を組み合わせてもショートカットは出来ないだろ」

「……まぁなー。お前にも見せたことないやつだよ。記憶から消してたから」


マローさん達に提案してから、エクスと一緒に砂丘の上まで来ました。

俺の提案、余りにも突拍子もない事だったらしく無言で承諾貰いました。

『何言ってんだこいつ』って目で見られましたけど。

……まぁ、信じて貰えないよねー。

一応砂嵐からの避難所(ニーサさん作成)から見える位置でやりましょう。


「このスキル、使うのいつ以来だ?中学の時に使ったのが最後かな?久しぶりに使うから加減わかんねぇなー……」

「……中学?なら10年以上使ってないのか。その時からユニークスキル持って……そういえばダンジョン完全攻略してたな、忘れてた。いつも訳分からん事するから」

「……褒め言葉として受け取っとく。ダンジョンが出来てから人より魔力は持ってたけど、このスキル、いつ手に入れたかわからんのよなー……フルパワーなら多分貫通できるな、うん」

「……貫通って……お前前にもダンジョンでもぶっ壊したのか?白川ダンジョンはショートカットだが普通の壁を壊すなんて流石に冗談が……」

「ご名答ー。マジで入口からボス部屋までぶち抜いた。1回だけだけど」

「……」


……あ、エクスが黙った。

顔を見るとジト目ですよ。

まぁ、有り得ないよな。

戦車の砲弾ですら傷がつかないダンジョンの壁、それを粉砕したって。

……配信で俺が公開している場所は壁が薄いから(震え声)

最初で最後のフルパワーで殴った時はダンジョン最終部屋近くまで一撃でぶち抜いたんだっけか。

皆から『やりすぎ!』って言われてから使わなくなったんだよなー。

そもそも大騒動になってしこたま怒られたし。

後俺、魔法でモンスターは倒せてたし。


「んな訳で久しぶりに使うので全力で行きます。妥協なし!エクス、とりまマローさん達とかにも防御魔法のバフかけといてなー……何が起きるかわからんし」

「……ほんと、常識の範囲内で暴れろ?お前はただでさえ人間が疑わしいんだから」

「へいへい……って俺は人間だよ人間!持ってるユニークスキルが少しだけ多いんだよんじゃ。それじゃ行くぞー」


俺は両手を合わせて目を閉じる。

大きく息を吸って精神を落ち着かせる……

魔力を大地に流し込むイメージを頭に描く。

……深く……広く……大きく


「……我の前に顕現せよ、我が道を阻むものを粉砕し、祓え給え、清え給え。守り給え、幸え給え……『金剛阿修羅大観音』」


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