第725話 料理のネタばらし カルパッチョ

「それじゃ、最後のカルパッチョ!これわかるやついるかなー?」


讃岐さんが俺たちに聞いてくる。

正直当てれる気がしないんですが?

みんな悩んでいるとすっと瑠璃さんが手を挙げた。


「はいはーい!私が当ててみせる!赤みが強いからアメリカのレッドテールサンダーサーモンかな!」

「うーん、残念!レッドテールも美味しいが今回は違うんだなー。惜しかったな嬢ちゃん」

「あーん、残念ー。結構自信あったんだけどなー」


レッドテールサンダーサーモンって確か電気を操る鮭だよね?

魚系で珍しいってことで仰天映像系のテレビでたまに見るよ。

驚いた時や滝を超える際に電気を発生させるらしい。

とんでもない生態ですね……


「うん、じゃあビックバントラウトかな。あれはカナダの深層に生息しているな、うん。全長10メートルは超える鱒だぞ。知り合いのビックフットがヒレでぶたれて数百メートル飛ばされたって言ってたし深層食材としてはもってこいだ、うん」

「お、土蜘蛛の兄ちゃん!いい線いってるねー。だが不正解だ。最初はそいつを仕入れようとしたんだがあいにく市場になくてな」

「うん、外れたかーしかたない、うん」


ARASHIさんが残念そうに肩を落とす。

……地味にビックバントラウトの説明ででてきたビックフットの方が気になるけど?

ビックフットってアメリカで有名なUMAじゃん。

ダンジョンが出来始めてからダンジョンから逃げ出したモンスターとか言われてるけど未だに見つかってないんだよねー。

まさか亜人だったとは……


「……ふむ、もしやゴールデンパールサーモンか?あれはこの時期産卵で遡上してくるが……そこまで身が美味しいわけじゃあるまい?あれは卵に栄養が全部もっていかれるから見た目から弱っているのがわかるからのう」

「葛葉様、残念ながら不正解。ゴールデンパールサーモンを食べるならもう少し早く食べるべきですねー。今の時期はもう産卵に向けて動きだしたので肉質が硬くなってるんです」

「そうじゃろうなー……ならあと思いつくのは……あれか、それか……名前なんじゃったかのう……」


葛葉さんが一生懸命思い出そうとしている。

さすが最年長、食べてる量が違いますねー。

出てくる名前も聞いたことが無い魚ばっかり。

熊本じゃ魚系モンスターは天草方面にしかないしあんまり行かないから覚えてないんだよねー。

今度またマグロを取りにでも行こうかなー。


「さて、葛葉様でも回答が出ないってなるともう終いかな?それじゃ回答だぞー!」


そう言うと店の奥に消える讃岐さん。

数分後、いそいそと発泡スチロールの箱を持ってきた。


「さてさて、これが一番高いまであるからな!ご開帳ー!」



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