第410話 深淵の食材を食べよう

「はーい、それじゃ出すわよー。まずは映えるやつ!」


ズルズルズル……


「ヒッ!」

「ヒェ!」

「わーお!ドラゴン?」

「というよりはー、恐竜ですねー」


チャーリーさんのカバン……もとい異空間から出てきたのは2本の角を持つ恐竜。

うん、トリケラトプスですね。

全身が青で緑色の線がしっぽまで伸びている。

首輪っぽいヒダヒダもデカいし、何なら目玉みたいな絵柄にもなってる。


ドシンッ……


トリケラトプスの全身がでてきた。

全長は約5メートルぐらいかな?

絶対今日の出演者だけじゃ食べきれませんな。

スタッフ、しっかり腹減らしてこいよー。


「ほい、これはマルテジマクって呼ばれている地竜です。ウルテカだと祝い事の時とかに食べるドラゴンですね。血はスタミナ回復効果があってコップ1杯飲めば山を3つ休まず全力で走り抜けることが出来ます。肉は少し硬いですけど噛めば噛むほど味わい深くて、健康長寿の食材ですよ。まず1つ目がこれです」

「……ドラゴン、出るだろうなーとは思ってたけどこんなにさっくり出るもんなの?シオンちゃん、どう思う?」

「マツミさん、私に振られても困りますよ……ツッコミはもうしないと思ってるので……」

「……うん、私もそう思ってたけど耐え切れるかな」


……マツミさん、頑張って。

アステカの神は自重という言葉は無いですから。

ちなみに今回持ってきてるマルテジマクは子どもサイズだって。

大人サイズ……どんな大きさなんだろうね……


「それじゃ!次は派手な食材!ケルー、出すの手伝って」

「えぇー……あれ出すの?食べにくくない?」

「美味しいからいいの。羽まで食べれるんだからいいじゃないの。ほら、頭持って」

「ほーい」


ケルーさんが掴んで引っ張ってみると出てきたのは蛇の頭。

ズルズルと伸びていくと蛇の表面は羽毛がびっしり生えている。

カラフルな羽毛は7色に輝いて綺麗だねー。

こっちは長さ8メートルほど。


「よーし!出てきた出てきた。これはヨラァリオンっていう空を飛ぶ蛇です。鱗の上に羽毛が生えてて風魔法を使って全身を浮かせて移動します。蛇だから肉質は鳥に近い筋肉質で、高タンパク、低脂質らしいです。ぶっちゃけサクッと捌いて焼いて食べてるから栄養価とかわかんないんだよねー。あ、そうそう。羽毛は生でも食べれます。塩コショウで味付けするとビールのツマミになりますよ」

「あ、揚げるとサクサク食感で、食べ始めたらと、止まりません。は、羽だけでおなかいっぱいになります」

「……シオンちゃん。蛇肉食べたことある?」

「一応ダンジョンの中で仕方なくグリーンサーペントっていう小さめのやつを。ささみよりパサパサでなんとも言えませんでした……」

「経験はあるのね……私初めてだからワクワクだわ」

「棒読みですよ、マツミさん」


……うん、マツミさんとシオンさんの感想会になってるね。

ちなみにイオさんとミクさんはヨラァリオンのそばに行ってつついたり自撮りしたりしてる。

……あっちはあっちで恐怖とか感じないんですかね?



「そして、最後に未知の食材!ほいどーん!これ、ウルテカではチミルって呼ばれてる木の実でーす」

「わーお……大きいわねー。私の顔ぐらい?」

「うわー!でっかーい!」

「マンゴー?にしてはー、色が違いますねー」

「……チャーリーさん、これって何ですか?」


マツミさん、三人娘が近寄って見る。

出てきたのはスイカよりもふた回り大きい赤い玉。

表面はツルツルしてるけどスイカとも違う触り心地。


「こ、これは太陽の化身とも呼ばれる翼竜ニケゼパルタの巣に生える、か、果実です。に、ニケゼパルタは太陽のように常時高温でその熱を吸収して育つ果実なので、お、美味しく育ちます」

「そもそもニケゼパルタはウルテカでも神聖なモンスターだからねー。何ならこの実を手に入れることが王の素質を決める儀式にもなってるし」


俺が倒したことがあるティトガルダと双璧をなす存在なんだって。

王様になるためにそいつの巣まで行くなんて、ウルテカ恐ろしいところだ。


「ちなみに何で未知の食材かっていうと、これメキシコのギルドに納品して絶賛効果を調べてるからだよねー。まだ調査段階だから誰も口にしてないって。どんな味なのかを知っているのもウルテカでも王となれた一部の人だけ……どう?未知の食材でしょ?」

「は?」

「ま?」

「ふぇ!?」

「わーぉ。すごーい」


つまり、今日食べるなら地上で初めてチミルの実を食べることになるんですね。


……おっどろきー。






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