第411話 前菜 深層産岩波山女魚の塩焼き
「さて、マツミさん。まずはどれから食べます?オススメはヨラァリオンですね」
「どれ食べても初めてだからリアクションが分からないのよ……じゃシオンちゃんが食べたことがある蛇から行こうかしら。羽まで食べてるって言うのも気になるし」
「え?私に合わせてくれるんですか?!そんな申し訳ないです……」
「いいなー、シオン。あ、私味見役やりまーす!」
「それじゃー、私はのんびりしておきますー。何かあれば手伝いますよー」
てことで、最初は空飛ぶ蛇から食べることに。
ま、恐竜も蛇も今から解体するので少し時間がかかるんだけどね。
その間は雑談でもしておきましょう。
「深層の食材を食べるって聞いてたのに……ほんと、アンタ規格外過ぎない?!あの4人のギャラ、TCSが払えると思えないんだけど?!」
「あ、そこはノーギャラですよ。日本にいる間色々情報渡したり、自宅に泊めたりしてるから。強いて言うなら飯奢ってくれって言われてるので吉原家か好き家で牛丼でもこの後食べようかと」
「……うん、もうツッコまない。ツッコまないから」
「牛丼でも私達にしたら珍しい日本料理ですよ、ミセスマツミ。あ、そうだ。あーさん、この前の魚余ってるんじゃなかった?あれ、深層の魚じゃなかったかい?こっちは下処理しておくから」
「お、テスラ。いいこと言うじゃーん。アイテムバックに入れて忘れてたわ」
俺はアイテムバックをごそごそする。
この前のバーベキューの時に余って非常食用に入れてたんだよねー。
アイテムバック、時間停止機能が有るからナマモノでも入れて保存できるのがいいよねー。
「……これじゃない。あ、蛇王神酒だ。これも深層の食材だから出しておいて……あ、あったあった。コレコレー!」
俺だ取りだしたのは川魚。
シゲさんが取ってきてくれた岩波山女魚。
取ってきた場所は教えてくれなかったけど深層クラスの激レア魚だ。
「……アイテムバックくらいSSSランクは持ってるもんよね……ツッコまないツッコまない。……で、それはヤマメ?にしては大きいし派手ね?」
「岩波山女魚は深層のモンスターです。主食は水中の魔力や藻なんですけど、魔力が多すぎても少なすぎてもダメなデリケートな魚なんです。この前知り合いに取ってきてもらって余ってたので保存してました」
「……深層に行ける知り合いが他にもいるってだけでも大ニュースにならない?しかもそんなデリケートなお魚なんて貴重でしよ?」
「市場価格とか調べます?調べない方が楽しめると思いますけど」
「……猪木、調べておいて。あと深淵の食材の値段とかも」
スタッフさんが慌てて奥に入っていった。
食べる前に値段を知ると食事を楽しめないと思うんだよねー俺。
お店とかなら分かるけど、これは俺が提供してるやつだしね。
そもそも深淵のモンスター食べるの多分地上じゃ初めてじゃない?
相場とかあるのかねぇ。
とりあえずヤマメは塩焼きでササッと食べましょう。
用意してあった竹串にブスっと刺してバーベキューコンロの周りに立てる。
こういう時囲炉裏とかあると映えるんだけど流石に用意してなかったので仕方なし。
土魔法でスタジオに作ろうかなっと思ったけど怒られそうなのでやめておきます。
美味しく焼けてくれよー。
生放送なので途中途中CMに入る。
その度にスタッフさんに詰め寄られております……
主にギャラについて。
個人的には多く貰ってるつもりだったけどプロデューサーさんは顔真っ青だよ。
何なら元の値段の3倍まで増えてるし……
他のところに使ってもらってくれていいんだけどねー。
「ギャラはこれ以上上げられないんですよ……こんなに準備してもらってすみません」
「いえいえー。こんなに貰っちゃったら罰当たりますよー。あ、そろそろひっくり返さないと」
「……猪木、アンタ田島さんのギャラ、値引きとかしてないでしょうね?流石に私のギャラも渡さないとヤバいんじゃない?」
トイレ休憩から戻ってきたマツミさんがプロデューサーに声をかける。
「マツミさん、そんなもんじゃないです……岩波山女魚、10センチサイズで約8000万でした……」
「はぁ?!ちょっ、冗談でしょ?!パソコン見せてみなさいよ?!」
「ほら、これ。築地で昨年、1度だけせりにかけられてます……全部で5匹、合わせて4億円。中国のバイヤーが買って帰ってますね……ネットニュースにも乗ってましたよ……」
「……あれ、どう見ても30センチ超えてるわね」
「なんならマツミさん用って40センチサイズです……値段なんていくらになるんですかね……」
スタッフさんとマツミさんが完全に固まっちゃった。
ほらー……言わんこっちゃない。
こういうのは値段を知ると味を楽しめなくなるんですよ。
この前、シゲさんに現金渡したけど軽トラに乗せて帰ってもらったんだから。
軽トラに積まれる札束の塊。
後で写真送ってもらったけど風呂いっぱいに万札入れて楽しんでたよ。
どこの雑誌の広告ですか……
それもあってか食い意地が張ってるゆりでさえ3匹しか食べてない。
流石に値段を知ると食べたく無くなるよねー。
ちりちゃんとりゅうくんは揃って2匹ずつ食べてます。
~~~~~
「はーい、いい感じに焼けましたよー。イオさん、これマツミさんに持っていっちゃってください」
「おっけーでーす!わぁ!いい匂い~!」
いい感じに焼き目が付いたヤマメを皿に載せる。
竹串が刺さったままのヤマメってザ川魚感があって美味しく見えるよねー。
ヤマメって頭から食べるのが美味しいんだっけ。
しっかり焼けてるはずだから骨までパリパリ食べれるはず。
「と、とりあえず頂くわよ。3人も準備いい?」
「こ、これが深層の魚……ゴクリ」
「うわー!美味しそー!これ、頭から食べるんだよね?ドキドキ!」
「それじゃー。みんなー、手を合わせてくださーい」
「「「「いただきます!」」」」
……はい、沈黙頂きました。
聞こえるのは咀嚼音だけです。
これって放送事故ってやつかな?
マツミさんは無言で噛み締めてるし、シオンさんに至っては涙流してるし……
あのイオさんが黙るってすごいよ。
「うーん。身はふわっふわですけどー、しっかりと旨みが感じられますねー。塩だけとはー思えなくてーリアクションが遅れちゃいましたー。あれー?2人とも黙ってるー?」
「ミクさんが1番に戻ってきた感じですね。戻ってきたって表現が正しいのかは分かんないですけど」
「あー、なるほどー。深層のモンスターを食べるとー未知の旨味をー理解しようとしてー頭がフリーズするって聞いたことがありますねー。私も止まってましたー?」
「多分3分ぐらいですかね?もしかしてミクさん食べたことありました?」
「いえいえー。深層のモンスターは今回が初めてですよー。けど下層のモンスターはちょっとツテがあってー食べたことがあったのでーそれでフリーズがすぐ解けたんですかねー?」
「なるほどですねー。あと3人はまだ戻ってきそうにないので雑談します?」
「うーん。配信ならーそれでもいいと思いますけどー……一応生放送なのでー、スタッフさーん。一旦CM行きましょー」
あ、そういえば生放送だった。
一発目でコレってことは深淵の食材食べたらどーなるんですかね……
マツミさん、持つかなー?
―――――――――――
閲覧ありがとうございます!
はい、過去最高文字数の話になりました。
いやー、キリが悪くて伸ばして書いてみたらこんな文字数に。
読みにくくないですかね?
多分これ以上長く書くことないと思いますが筆がのったらまた書くかもです!
星、ハート、コメントよろしくお願いします!
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