第7話 vsオーガ


「大丈夫ですか?!皆さん、逃げれますか!?」


俺は近くにいたタンクの娘に話しかけた。


「うぅ…動きたいんですけど足が思うように動かなくて…」


うーん、初めてみるオーガに怯えて動けなくなっている感じだ。

他の二人は完全に腰が抜けて立てないようだしどーしようか。

それもそうだ。

普通の人間ならあんな化け物と出会って直ぐに逃げれる方が少ない。

悩んでいると悶えていたオーガが立ち上がるのを感じた。

わぁ、顔が真っ赤に染ってるぅー。

完全に頭に来てるようだ。


「……参ったなー。逃がしてから戦う予定だったけど、仕方ないかな……いっちょやりますかねー」


「え、無理ですよ!!あれはオーガ、Aクラスの探索者でもソロで戦えない……危険度MAXのモンスターなんですよ!」


少女が怯えたように叫ぶ。


「それよりも貴方も逃げないと!」

「いやー、流石に女性をおいて逃げる男ではないので」

「「そんな、今の状況わかってます?!」」


腰が抜けている二人からも呆れた声が飛んできた。

ナイスツッコミ!

中々元気があるようで、安心したというかなんというか。


「大丈夫です。あのオーガならなんとかなるんで。あ、これはオフレコでお願いしますね。職場にも黙っているので」

「は、はぁ……」

「い、いったい」

「な、なにをするんですかー?」

「まぁ、見ててくださいな」


そういうと俺はオーガに向き合った。

オーガは大きく腕を振りかぶって殴り付ける体勢をとった。

オーガの体重をのせた一撃。

どこかのネット記事で見たけど、確か10トントラックの衝突並みってネットに書いてあったなー。


ガシッ!!!


俺は振り下ろされた拳を片手で受け止める。


メキメキメキ……


オーガの一撃を吸収しきれなかったのか足元の地面が陥没し、したにめり込む。

おーおー、さすがの力やねー。

けど、それだけじゃ俺は倒せない。




そう、俺はEランクだけど、オーガ程度なら楽々倒せるぐらいに身体を鍛えている。

正確には俺が持っている色々なスキルのお陰なんだけも。

単純な戦闘能力なら通常の探索者と一線を画す強さを持っている。

ぶっちゃけた話、このオーガ相手ならスキルを使うほどでもないから、このままゴリ押しで倒してしまおう。


「そーっれ」


振り下ろされた拳を掴んで背負い投げの要領で頭から地面に叩きつける。

ゴリッと言う嫌な音がダンジョンに響き渡る。


「うっそぉ……」


後ろから小さな声が聞こえた。

まぁヒト型とはいえ普通5メートルもある巨体を背負い投げスタイルで振り回すなんて不可能だから仕方なし。


とりあえずオーガの討伐はサクッと終わりを迎えた。

いやー、背負い投げとか久しぶりにやったよー。

ちゃんと腰入ってたかな?


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