第3話 受付で その1


いつもの軽装備に着替えてダンジョンの受付へ


「田島さん、今日もお疲れ様です。今日も上層でご飯ですか?」


受付の方が声をかけてくれた。

名前は確か福崎さんだったかな?

白川ダンジョンを利用し始めてから受付にいるから

約3年ほどの付き合いになる。


「ですねー。今日は牛の気分なのでステーキにでもしようかと」

「ステーキ!いいですねー。仕事がなければご一緒したいところです」


お世辞でも話に乗ってくれるのはうれしいもんだ。

あ、よだれが出てるから本音かも?


「焼きあがったステーキ、受付まで持ってきてくれると嬉しいんですけど……やっぱり田島さん、昇格試験受けませんか?」

「その申し出はうれしいんですけど、もう昇格試験はこりごりで。年齢的にもそろそろきついころですし」


昇格試験

国連が定めたダンジョンに入場する資格-ギルドパス-がある。

ギルドパスはEランクから始まり、D、C、B、A、S、SS、SSSランクまである。

前のニュースでSSSランクは日本に1人、世界では合計10人にも満たないとか言われてた気がする。

昇格試験はランクを上げる試験のことで、ダンジョンから持ち出せる素材はランクごとに分けられている。

なぜそのような制度になったのかというとダンジョンが広まってすぐ無謀にも深層に挑む人があまりにも多く、死者が多く出たからだ。

Eランクは素材の持ち出しができず、小遣い稼ぎをするならDランクに上がる必要がある。


福崎さんが昇格試験を進めてくるのは自分がEランクだからだ。

中学の時にギルドパスをとったんだが、どうしても試験に合格できず8回

もう心が折れてしまい、昇格試験を受けることをしなくなってしまった。

Eランクでも素材の持ち出しは出来なくても自分で食べる分には問題ないとのことでダンジョンで飯を食べることが自分の趣味になったのだ。


ダンジョンを管理している組織―熊本県ギルド―としては古参の俺には中層の素材を持ち帰ってほしいので昇格してほしいのだろう。

一応熊本でも古参に入る年数ダンジョンに潜っているせいか、俺の名前が浸透しているそうだ。

迷惑極まりない

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