第6話 原因と解決策
『渋谷さんの呪い……それは『ヴァンパイア化』と呼ばれるやつです。知り合いの亜人……配信でよく出るランファに確認したので確実かと』
「ヴァンパイア……それってどういう」
『グルーヤムヴァンパイアの領域拡大行動の一部ですね。ざっくり言うと自分の手足となる奴隷を作り出す寄生虫のような呪いです』
グルーヤムヴァンパイアは自分より弱いモンスターに体液を注入し使役化するそうだ。
使役化されると牙が生えて血をすすって生きるだけの生物とかす。
人間や亜人が使役化された姿が伝説の吸血鬼にそっくりだからそう呼ばれているらしい。
『一説にはルーマニアの吸血鬼伝説も過去に地上に出てきた際に人間を使役したから、とも言われているそうです。伝承があるところは亜人が出入りできる穴があるそうなので』
「へ、へぇー……」
「しれっと爆弾発言!流石あーさん!」
「喋るだけで常識を破壊しますねー。ならー治す方法もあるんですよねー?吸血鬼伝説だと治す方法はないですけどー」
吸血鬼伝説はあまり詳しくは無いけど、吸血鬼になった人は基本心臓に杭を打って殺す方法しか記載されていない。
戻す方法があるならすぐにでも助けてあげなきゃ!
『ランファからの情報を言いますね。まず必要なものは聖水と果実。聖水は日本だと神社ならどこでも出てるそうなので近くの神社のお水を貰ってきてください』
「えぇ……そんなシンプルな……」
『神聖な場所なら効果が高いそうですけど聖水は脱水とかが起きた時に飲ませる用らしいので最悪ポカルとかのスポーツ飲料でもいいんじゃないですかね?』
……こういう所、田島さんに似てるよね亜人さんたち。
いや、亜人さんたちに田島さんが染められてるのかな?
けど聖水の方が呪いに効きやすいっぽいから集めてきましょう。
とりあえず神田明神か浅草寺のお水がいいかな?
もしくは伊勢神宮の水?
とりあえず新幹線の予約は必要だね。
『で、こっちが重要な果実なんですけど……名前は『ブラット・パック・アップル』という林檎です。見た目はちょっと暗い色の林檎ですけど果汁が赤いのが特徴です。この実には鉄分が多く含まれていますが抗酸化作用が高くてグルーヤムヴァンパイアの呪いを打ち消す効果があります』
ブラット・パック・アップルは中層から下層に生えている林檎だそう。
ランク制限にも引っかからないし、買取値段も安いから中々集められない果物だ。
味は美味しいらしいけど如何せん真っ赤な果汁が血のように見えるから商品にならないんだって。
ハロウィンの時にアップルパイとか作ったら売れそうだけどねー。
『まだ時期的に身が小さいと思いますが、ミクさんの『ワイドヒール』で木の根元を回復させていくと栄養が溜まって成長が早くなるそうです。完熟になるタイミングで取るのがコツです』
「なるほどー。ありがとうございますー!ちなみにその実が取れるダンジョンとかもー分かってたりしますー?」
『えーっと……調布、府中、稲城のダンジョンの下層ですね。比較的取りやすいなら府中競艇場近くのダンジョンですね。あそこは上層3区、中層4区、下層8区ですけど、中層までのモンスターが弱いですし何なら中層4区ボス部屋前のセーフゾーン近くに林檎の樹が育ってましたから』
「……すごい詳しいですねー。もしかして入ったことあるんですかー?」
「……東京本社、ここから電車で4つ先なんですよ。東京研修が嫌でここに毎日来て肉食べてました……はぁ……まさかここでこのダンジョンの話をするとは……」
サラリーマン、お疲れ様です!
けど、情報は手に入った。
あとは集めるだけ!
待っててね、カホちゃん!
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