第4話 満月

「ここだね、アドラ館」

僕らはデーベルがいそうな館を回り始めた

一日ひとつ

学校が終わってから

学校での疲労がひどい時はさすがに出かけない日もあるが

「とりあえず中みよっか」

サクは裏のなさそうな笑顔で笑っている

デーベルの死体があるかも知れないのに

…まぁデーベルが死んでいるかすらわからないのだが、実際あの手紙依頼デーベルから郵便は届いていない

中は埃臭かった

大きな広間に図書室、食堂そしてその他普通の家庭にある部屋がくっついている

だが

「オップ!ちょっと庭見てきていい?」

「はしゃぎ過ぎだろ、いいけど…」

「ありがとう!」

元気が良いこと

塗装が剥がれかけている床をこけそうになりながら

中庭へ走って行った


この館には不自然に日光がさすところがあった

図書室にふたつ…トイレと食堂ひとつ

間取り的に館は正方形だ

右上に図書室

左下トイレ

左上食堂

何かのヒントな気がする



時間的にもう帰らなければ

日光の差していた場所が月の光に変わっている

今日は満月だ





『お前にひとつ問う、なぜお前は友人のためだけにそこまでやれる…!人を喰らってまで…!』

「俺の食った人以上に被害が出てしまうからだ…わかるか?お前が…!」

『お前の友人の責任であろう』

「お前さ…神様気取りだろ、お前は人外でもないただの人間だとわかった、今な。」

「だと、しても?」

「出てきやがったなてめぇ…」

「科学の進歩な未来の人間に繋がる…今の人間を捨ててでもやる価値があるんじゃないか?」

「止めてやる…」

「そうか…止められるのか?その友人とやら」

「科学実験とか言って大勢殺したことは友人にいつしか認知される」

「恨みが私に刃を向けるとでも」

「そうだ!お前の居場所のヒントをそこらの館に隠したんだ…」

「面白いな…楽しみにしておこう…ふふ…

で・は



    実験をしようか


                  」

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