母ちゃんのカレーライス
「カレーの匂いがしたからさー。てっきり、今日、カレーかと思った。」
そう言った俺に、母ちゃんは、にっこりと満面の笑みを浮かべ。
「だって、お前。今日は、お前の誕生日じゃないか。奮発して、カレーハンバーグにしたんだよ。」
「フフフ。でも、結局、カレーなんだ。」
俺が笑うと、母ちゃんも声を上げて笑った。
普段と何も変わらない、そんな日に思えた。
母ちゃんが入院したのは、それから三日経った時だった。
あれから体調を崩し、高熱も下がらず、なかなか渋ってた母ちゃんを病院に行かせたら、即入院になったのだ。
父ちゃんの話によると、肺炎になってたらしい。
「肺炎なら、すぐに帰ってくるよね?」
そう言った俺に、父ちゃんは、目も合わさず、
「あぁ……そうだな。」
と小さく言った。
ーそして母ちゃんは、二度と帰って来なかつた。ー
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