第12話 年末
年末年始の休みになった。
気づけば、「24日は用事があるから」以来彼女氏から電話は来なくなった。休みがいつからとか、一緒に帰省しようとかいう話もなかった。
こちらから話しかけてもよかったかもしれないが、クリスマスがあんなことになってはそういう気はおきない。
12月28日が会社の仕事納めで、その翌日にとりあえず一人で実家に帰った。
12月30日は朝から父親に遣いを頼まれた。注文しておいた年始の贈答品を店から受け取ってきてほしいという話。その際、彼女氏もつれていくように話はしてあるという。
車で彼女氏の実家に行き、助手席に乗せて街中に移動。目当ての店に行って荷物を受け取り、帰り際に父親から言付かってきた話を切り出した。
「1月2日に親戚……ていうか兄弟の家族が集まるので、来て挨拶してほしいんだけど」
「嫌だ」
――まさかこうはっきり断られるとは思わなかった――
「何、その返事?」
あまりにもひどい応えなので、露骨に不快感を表してそう伝えた。
「やだぁ……」
彼女氏は、嫌な理由も言わず、ただそう言うばかり。
小学生でももっとマシな言い訳をする。
挙式まであと3週間。ついに無茶苦茶な状態になってしまった。
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