第18話 持つべきものは友

 この結婚式では、二次会の手配をしていた。友達のホテルマンが幹事をやると乗り気だったので、挙式は地元だから、その翌日に都内で可能と考えた。といっても一人では決められない。こっちの参加人数はネットの友人の5人ぐらいというのもある。

 それで彼女氏から週1の電話が来たときに相談した。

「やればいいんじゃない?」

 という答えだった。でも披露宴の翌日にわざわざ来る人がいるだろうか。そっちは何人来そうか? と聞いてみると、

「20人は来るよ!」

 と自信満々に言う。話半分にしても、一応二次会は成立しそうなので、やりましょうとその後ホテルマンに伝えた。


 挙式の一週間前、成人の日の3連休になった。初日の土曜日に会場の下見に来てほしいと誘われた。他にも二次会の企画を仕上げるためにいろいろすることがある。だからぜひ二人で来てほしいと言われた。

 それで、前日までに電話で誘ったが、予定があって行けないと複数回断られた。

 仕方なく一人で行った。「こういう人です」と写真を見せ、「披露宴でやるカラオケの練習だとかで、来られないんですよ」と話した。

「この式はやめた方がいいんじゃないかな?」

 開口一番、率直にそう言われた。真剣にこちらの心配をしている口ぶりだった。

「そう思う? 式を挙げても入籍はしばらくしないつもりなんだけど」

「そんなのはだめだよ。式を挙げても、入籍はしないで、戸籍はきれいなままだからすっぱり別れましょうとか、そんなんだったら、式もやめたほうがいい。来てくれた人に失礼だ」

 全くの正論だった。

「真剣に話してくれてありがとう。考えておくよ」


 それから会場の下見をして、ビンゴ大会の景品を買い、男二人で食事とカラオケをやって別れた。

 家に戻って、親に電話した。

「今日友達と話をしたんだけど、今の状況じゃ結婚式はやめた方がいいって言われたんだ。どう思う?」

 母親はすぐには答えは出ない様子だった。

 この結婚について、親にネガティブな話をするのは、これが初めてだった。

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