第54話 政治屋の錬金術

 今日私が手に取ったのは【モリアール家の税金からの収奪】と題された資料だ。収奪とは穏やかではないが、要は公共事業におけるマージンとバックマージンなどで家の収入としていた事だ。

 まあ、一般国民からすれば税金泥棒扱いされるかもしれないが、割とよくある話ではある。

 モリアール家の収入が主に旧文部省の教育関連財源からだ。

 教育関連の建設についてみてみると、まず旧文部省からブリザンドスペースコンサルティングに発注が行く。

 指名競争入札の場合は、その関連会社があらかじめ落札額を提示されており、それによって独占をはかっている。

 旧文部省の官僚たちで関わっているの者は一部だが、知っていても身動きは取れない。絶望して官僚をやめるか、長いものに巻かれるかしかない。

 そして現場学校教員でもかかわりが出てくるが、そういうところに登場するのがセツラの教員だ。

 ぐるぐるである。

 そして仲介料として3割くらい平均でブリザンドスペースコンサルティングはコンサルタント料をとっている。分配先の下請け企業からのバックマージンを含めると合計で4割から6割なるだろう。

 ようするに投入される税金の四割はモリアール家に吸収されている。

 建設の場合において間にモリアール建設がはいってから、建設企業連合に仕事が回され、そこから各建設業の下請けへ回される。

 教育関連の依頼は一見おいしそうに見えて地雷だと業界でいわれるのがこれがあるためだ。

 そのためした受けや孫うけはぎりぎりの収益だったり、逆に仕事をしても赤字だったり散々なことがよくあったようだ。


 学校の備品などにおいても発注はブリザンドスペースコンサルティングに回される。

 ここは建設ほどマージンとしてとられる量は少ないが、全体額は定期的にあるので額自体は大きい。例えば学校で使われる印刷用紙などだ。

 そしてかつては文部教育族とよばれたモリアール家の派閥は、モリアール家が一括してそのように税金から得た収入を、領収書の改竄などで裏金にしたりして、仲間内の族議員に直接送っていた。

 そのため、銀行記録などには残らず、証拠が出てこない構造になっていた。

 ブリザンドスペースコンサルティングは権益をモリアール家が独占しており、仕事自体は天下りしていた元官僚が行っていた。

 摘発されても部下の性にできる体制だったわけだ。


 こういうところはよく考えてできているなと思う。税金の無駄遣いを摘発する旧財務省にみつかればつつかれること請け合いだろうが。


 政治家が税収を吸い取る仕組みはどこにでもわりとあるが、ここまで巧妙なものも少ないだろう。歴史に裏打ちされた、年月かけてつくられたものだろうことがうかがえる。

 もっともやっていることは不正だが。


 政治的な仕組みを作るうえでこういう資料は反面教師として役に立つ。

 そろそろ本国のほうの制度も整ってきているだろうが、終身大統領として監査でもしてみるか?愛する娘に文句をいわれそうだが・・・・・。

 この銀河での戦いもそろそろ大方終わりが見てきている。

 チェイン人の問題はあるが、そこさえクリアできれば本国との流通や人の行き来を全面的に許可できるかもしれない。

 明日を夢見て、今日は休むか。

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