第39話 犯罪組織にとっての宰相経験者の効果的な使い方
現在判明しているチェイン人民共和国の工作機関の計画では、モリアーニ家の宰相経験者を、大々的に報道機関をつかって摘発する。
彼らにとってはその時期が問題だった。ブリザンド星系帝国の政府機関の権威失墜をはかるがその主目的で、それにより政府の求心力を低下させ、安全保障関連の立法や法改正を阻害するというのが主目的だ。
それに加えてチャンスがあれば、チェイン共産党とつながりがある政党の政権樹立までスケジュールにはいっていたようだ。
この政党というのは議員自体がチェイン人で、戸籍や法律の抜け道を駆使して議員になっているというとんでもない組織だ。
モリアーニ家が抵抗して元宰相が摘発されなくても、それを理由に政権与党や政府を攻撃し、その権威を失墜させることができる。
そしてセツラにとっては、モリアーニ家は使捨ての存在でしかない。
国民からしてみればモリアーニ家のやってきたことは許せないが、かといってセツラやトージェイン家の存在も許せないだろう。
しかし順当に司法機関の捜査が行われても、その内部に浸透しているセツラの関係者などにより、セツラ自体は何のダメージもうけないのだ。
それによって政府に切られたということでモリアーニ家は政府や皇族を恨むだろうが、そうするとモリアーニ家の残党はさらにチェイン人民共和国にとって利用しやすい存在となる。
同時並行的に、大型詐欺事件や強盗事件を起こせば、司法機関の行動を縛ることができる。
動員できる人員に限りがある以上。司法機関は摘発すべき犯罪を選択させられるからだ。
そうすると初動で摘発しやすいか重大だと思われたり、権力者の邪魔が入りにくい事件のみを摘発することになる。
セツラの情報が寄せられていても、それは切り捨てられることとなる。調査が行われていても調査打ち切りや、警察署レベルで情報が止まることになる。
そうなると警察庁や、検察庁などの組織に情報が届かない。
質が悪いのは、これに加えて、セツラの工作やモリーアニ家の協力者により、情報提供者や協力者を警察署レベルで冤罪で逮捕させたり、地方検察庁レベルで刑事起訴させたりして、情報をもみ消してしまうことも同時に行われていることだ。
モリアーニ家は自分の家に不利な情報をもっているとなれば喜んでその情報もみ消しに協力するだろう。
これにより社会不安を演出させ、司法組織の権威や信頼を失墜させ、それにより、武装革命組織であるセツラの行動をさらに進展させることができる。
チェイン人民共和国のチェイン共産党のやり方はこのようなやり口だ。
国力が弱まった時点で、島嶼地域のみならず、地方の土地などを買いあさったりして、ブリザンド星系帝国を徐々に侵略していく。
そして、ある時点で行動をセツラにおこさせて、武装革命をおこさせて、市民の保護を名目にセツラ支援の共産党軍を派遣する。
彼らにとって完璧な計画なわけだ。
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