第38話話 チェイン人民共和国への侵攻案

「現時点での侵攻はリスクもある。旧ブリザンド星系帝国内の工作・犯罪組織の全体を討伐しきれてない。侵攻を機に策動する可能性が高い。」


 私のその言葉に会議室に集まった面々は頷く。


「しかし、いつまでも侵攻しなければ、犯罪組織の拡大が続けられることを意味する。リスクをとっても根本を絶つ必要がある。」


 レリアからチェイン人民共和国の国内における軍備状況や軍事施設についての説明があった。


 チェイン人民共和国の首都星はペイジェンといい、惑星自体が地下要塞化されており、直接の兵力投下はゲリラ戦での被害が大きくなると予想されている。

 

 そのため、惑星自体をレーザー核融合ミサイルによる飽和攻撃を加えるか、荷電粒子砲の砲撃を直接加えて、地中の施設にダメ-ジを与えるか・・・・・・場合によっては惑星自体を処理するほうがいいとのことだった。


 また、工作機関の本部は別の星系にあり、そこは交易の中心であるシャンペー星系であり、ここの都市の地下に巨大なコンピューターシステムがあり、国内の情報や国外の情報を集中管理しているそうだ。

 工作機関を叩くならさきにシャンペーを叩くべきだという意見が占めた。


「正直言いますと、チェイン人民共和国は民度が低すぎて、領土化しても再教育にかかる費用が膨大です。また、まだ確定ではないですが、彼らは別の人類に作られた他の人類を壊滅させるための兵器という情報もあります。虐殺の汚名を着ることになりますが、関係星系への核反応兵器の使用を進言します。」


 人類自体を兵器とするというのはなるほどコロンブスの卵だ。


 だがそれは、外道中の外道のすることだと思う。


「兵器である可能性が現状では8割という高い値です。ほかの人類の遺伝子への侵食率などからそのような値が算出されています。それとチェイン人単体で存在していると互いに殺し合いを始めて、自滅してく遺伝子の仕組みが明らかになっています。」


 標的の人類を殺しつくした後、それ自体も殺しあって自滅して、あとには残らないようにする。惑星侵略用の兵器としてはなるほど優秀だ。


 閉鎖系を維持してればだが・・・・・・宇宙に出てしまえば際限なく侵食を繰り返すことになる。


「最初に落とすべきはシャンペーでしょう。そこに情報が集中しています。海外の組織への司令塔があります。惑星事荷電粒子砲で焼き払うべきでしょう。」


 レリアによると黒客とよばれる外人クラッカー集団と紅客というチェイン人のみで構成されるクラッカー集団があり、それらが各地の詐欺事件などで利用される携帯電話の情報消去システムを設計したりマイコンに書き込むプログラムをコーディングしているとのことだ。


 ここまでくるとチェイン人民共和国は犯罪の種のデパートだ。違法薬物から不正用のプログラムまで国家として生産している。


 チェイン人民共和国に自浄作用はないとみていいだろう。

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