第33話 ブリザンス星系帝国の終焉

 【銀河ユニオン歴】20年5月21日。この日、ブリザンス帝国の最後の選帝侯家ワールデン侯爵家が立てこもるバワネル星系第五惑星の衛星を要塞としたカホーデン要塞が、我が軍により制圧された。

 ワールデン侯爵家の関係者は、旧帝都ブリザナへ連行されたのちに、公開処刑された。

 これにより完全にブリザンド星系帝国は制圧され、その名は歴史にのみb残されることとなった。


 ワールデン侯爵家の制圧にここまで手間取ったのは、ワールデン侯爵家はゲリラ戦を仕掛けており、ワールデン家の領宙のあちらこちらにゲリラの拠点が構築されていたことだった。

 また、ほかの選帝侯家の残党がこれに合流し、粘り強い抵抗をしていた。

 このことがここまで制圧に時間がかかった理由だ。

 もっとも物量で圧倒的な我々は、ひとつづつそのゲリラ拠点を制圧していった。AIの調査は無駄はなく、六星系すべての小惑星から惑星上の拠点まで調べ上げ、そして制圧した。

 さすがに戦争が後半になると、相手方の補給が成り立たなくなりつつあったようだ。


 問題はゲリラ戦が継続可能だった理由だ。

 諸賢方が想像される通り、背後には別の勢力がいた。もっとも国ではなく、宙賊の組織だ。闇シンジケートといっていい。

 これがワールデン侯爵家の補給を支えていた。


 そのため、今度は旧ブリザンド帝国のあちらこちらで闇シンジケートの摘発祭りだ。この組織はさらに旧ドンド王国にも広まっていたようだったが、そちらの方はすでに川浪女史が摘発を完了していた。


 この組織は三つのグループからなりなっており、一つは共産主義革命を目指す、チェイン人民共和国に支援された組織。彼らはセツラを名のっていた。

 一つはブリザンド星系帝国の名門モリアーニ家。この家は旧ブリザンド帝国の教育省に権益を持っていた。

 もう一つが同じく名門トージェイン家。かつて宰相を輩出したこともある名門だが、いまは凋落し、違法薬物売買で財を成していた。

 問題なのはセツラの拠点がブリザンド星系帝国の市民学校にあり、その中で九歳から十六歳までの一般市民児童に、共産主義の洗脳教育を施し、自らの組織員として育成を行っていたことだ。

 そして問題が起きれば教育省に力を持つモリアーニ家にもみ消しを行わせていた。酷いことになると、モリアーニ家の力をつかって司法機関を動かして、情報が漏れたり、裏切り者が発生した場合の処分を行わアせていたことだ。無実の罪で捕まって処刑されたものも多い。

 トージェイン家はアヘンを加工した違法薬物やマリファナを加工した違法薬物をセツラのネットワークに卸しており、それがセツラのネットワークの収入源にもなっていた。

 また、トージェイン家の違法薬物の生産場所はチェイン人民共和国とその属国であり、移送の発覚をモリアーニ家が防ぐことで、資金がモリアーニ家に流れていた。


 ネットワークの根が一般市民はおろか司法機関にまで伸びており、貴族の処刑を免れていたモリアーニ家やトージェイン家にも我が国の調査機関が調査に入り始めた。

 調査をしていたのがAIのアンドロイドでよかったのはセツラのグループは美人局を配下の児童にさせており、それがモリアーニ家にとっての弱みになっていたことを発見することにつながったことだ。

 もちろんアンドロイド達は誘惑は無効であり、次々と、犯罪組織が明らかになっていった。

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